2015年6月27日

劇 & 小島君のレクチャー



先日、約20年ぶりに下北沢を訪れ『チェス盤の馬』という劇を鑑賞しました。

チェスで何億と稼いだプレーヤーがホテルお抱えの真剣師となって賭けチェスをしているという設定です。チェスプレーヤーの視点で見るとツッコミどころは当然ありますが、たった一週間の上演のためによく頑張ったものだと感心しました。ゲームはすべてブリッツの速さです(ちなみに“スピード・チェス”と呼んでいました)。1手ごとに長考していたら観客は退屈してしまいますからね。弱いプレーヤーは白番で 1.a3 2.b3 3.c3 4.d3 と指していたように見えましたが、強いプレーヤー同士だと Nimzo Indian っぽかったので、きっと有名なゲームを模していたのかもしれません。両手を使ってキャスリングしたり、時計を押し忘れたり、チェックがかかっているのに対処せずに関係ない駒を動かしたりしてましたが、それまでチェスを指したことがなかった役者さん達がセリフと棋譜の両方を思い出しながら指していたわけですから相当大変だったと想像します。
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今日のレクチャーのテーマは攻防一体の手。例えば、以下の 6...Qf6 は e5 のナイトを守りながら、7...Nf3+ の discovered attack の threat を作る攻防一体の手になります。


GMらしいと思えたのは Gabriel Sargissian vs Emanuel Berg のゲームからの 37.Ra3。d4 のビショップが取られそうなのにもかかわらず、38.Rg3 を狙います。自分が黒だったら、キングかクイーンを動かしたくなりますが、37...Rxd5。38.Rg3 に対しては 38...Rg5 で対処できます。その 38...Rg5 を阻害するための 39.h4。そして、39...e3

白が 40.Rg3 を狙うために 39.Rxe3 としてきたら、黒は 39...Rxd4 とビショップを取ってから 40.Rg3 に対して 40...Rg4 と対処できます。これは解説がないと分からないですね。39.Bxe3 Qxf6 40.Bf4

このビショップはタダで取れそうに見えますが、もし 40...Qxf4+ だと 41.Rg3+ となり、黒はクイーンを手放さないと 42.Qg7# になります。40...Rf7 はその白の策略を封じ、ビショップを守れなくします。自分ではとても思いつかないGMらしい手が連発されていて面白いゲームでした。

2015年5月9日

小島君のレクチャー:全国大会より


今日は今年の全日本選手権から4ゲームが取り上げられました。

解説があれば、どれも私でも理解可能なレベルです。例えば、上の局面で、白の方から白マスのビショップを交換してもgファイルに黒のルークが回ってくると白にとって脅威になるので、白は 9. Re1 と指します。黒は白の方からビショップを交換してこないと考えて 9...Bg7 といかにも自然な手を指しますが、これが実は悪手。なぜならば、1手前であれば、白からしない方がいい交換が今なら良くなっているからです。10.Bxf5 gxf5 11.Nh4 とすると
黒はf5のポーンを守れません。11...e6 はキングに対してピンになっているので守りになっていませんし、クイーンで守ろうとしても白もクイーンを攻撃に回すると守りが足りなくなります。ポイントは状況の変化を認識しろ、ということです。

全日本の途中で感じましたが、小島君のレクチャーは聞いていて役に立っていました。アナンドのゲーム紹介にて、QGD系のため黒がクイーンサイドのビショップを出せず、チャンスが来るまでひたすら我慢するという解説がありました。それを聞いていて覚えていたからこそ、自分のゲームでもひたすらチャンスが来るまで我慢していられました。以下が自分のゲームの中での局面ですが、白が 17. Ne5 と指したところです。

黒マスのビショップは本来グッド・ビショップですが 17...Bxe5 18.dxe5 と交換し、18...c5 を指せました。

あとで ...Bc6 を指してから黒の方が良くなるわけですが、我慢しようという気がなければこうなる前にもっと自暴自棄な手を指していたかもしれません。

今回習ったこともいつか応用できたら良いですね。

2015年5月6日

全日本選手権6日目(最終日)

11ラウンド目(最終ラウンド)。白。O君。相手が Colle を避けた結果、Slav になりました。

1r3nk1/r3bpp1/2P1pnp1/p2p4/Np1P4/3BP3/1P1B1PPP/R1R3K1 w - - 5 21
このパスポーンは強かったようですが、弱気な私は守り切れないだろうと思ってさっさと a ポーンと交換してしまいました(21.c7 Rc8 22.Nb6 Rcxc7 23.Rxc7 Rxc7 24.Rxa5 )。

そして、ちょっと前まではまさか成立しないだろうと高を括っていた攻撃が来て焦ります。

5nk1/6p1/1N2p1p1/R2p1p2/1p1Pn2b/3BPP2/1P4PP/2r1BK2 w - - 3 28
28.g3 Nxg3+ 29.Kg2 Rxe1 30.hxg3 Rxe3

ここからはもう下り坂。

ここからなんとかステールメイトに出来ないか模索してみましたが無駄でした。負け。

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結果、4.5/11 でした。私のレベルでは上出来です。

大会の写真は明日ホームページに載せる予定です。

2015年5月5日

全日本選手権5日目

9ラウンド目。白。Mさん。Colle。

r1b2rk1/1pq1bpp1/p3p2p/3pP1P1/3P4/1P1B4/P1P4P/R1BQ1RK1 b - - 0 17
17.g4-g5 と突いたところです。このポーンを捨てた方が攻撃が速いと考えました。17...hxg5 18.Qh5 g6 19. Qh6
19...Re8? 20.Rxf7 Kxf7 21. Bxg6+ で黒リザイン(続けても2手メイトです)。

相手の方に「あざやかな勝ち」と言っていただけたのが嬉しかったです。
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10ラウンド目。黒。初対局Y君。1.b3 で始まりましたが、自分が白番の時に指す Colle に似てきたので Colle の黒側のように指していました。

ここで白 7.c3。驚きが顔に出てしまいました。せっかくb2のビショップがe5まで利いているのにその利きを遮ったようにしか見えません。7...Nbd7 8.Be2。ここで 8.Bd3 としないあたり、やはり Colle とは似て非なるものだと実感。8...b6 9.O-O Bb7 10.Rc1 Ne4。どちらかというと黒で Colle を指している感じになってきました。しかも、黒なのに気持ち良い。


3r2k1/p4p1p/1p2pp2/3b4/8/1P1BP3/Pb3PPP/1N1R2K1 b - - 5 22
白の直前の手は 22.Rd1。私が、...Bd5-g2 の準備をしていたのでそのカウンターのようですが、実はブランダーでした。22...Be4。ビショップを引いてルークを守ると 23...Rxd1 24.Bxd1 Bxb1 で白はピースダウン。ここで白リザイン。
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現時点、4.5/10 もあります。自分にしては既に上出来です。全国大会というレベルの高い大会なのにまだイーブンに戻すチャンスが残っています。ちょっとだけモチベーションが上がります。

2015年5月4日

全日本選手権4日目

5ラウンド目。黒。Fさん。Scandinavian。GM Emil Stovusky と私の同時対局のゲームを見てきたらしいので、そのバリエーションはハズしました。

r3k2r/pp3pp1/2p1pn1p/4P3/6B1/2b1B3/PPP2PPP/2KR3R b kq - 0 15
黒番です。候補は3つ。1つ目は、15...Nxg4 16.bxc3 Nxe5 だとポーン得&相手のポーンが乱れるように見えますが、17.Bd4 でナイトに当てられるのが嫌だったので却下。2つ目は 15...Bxb2+ 16.Kxb2 Nxg4 でポーン得ですが、...h6 を指さないとナイトの場所がありません。それで、実際は 15...Bxe5 のポーン得を選びました。


1ポーンアップのまま、ナイト対ビショップのエンドゲームに突入したのですが、なぜかふとビショップが利いていることを忘れ、上記局面で 34...Nh4 を指してしまいました。Fritzの評価が -2.18 から 5.48 に反転。もったいないことをしました。負け。
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6ラウンド目。黒。Sさん。London System が来る思っていたのに、QGD Cambridge Springs になりました。

上記局面で 7.Nd2 は定跡ですが、白は数分かけて自力でその手を見つけ出したそうです。すごくないですか?私がもしこのラインを知らなかったら、7.Bd3 とか 7.Qd2 とか指してそうです。

白が 29.e4 を指しました。自分の方が優勢だと判断していたので、29...Bc6 と逃げて、30.Rd8+ Rxd8 31.Qxd8+ を喰らうことを避ける手を考えました。29...Qe2 30.Qf3 Qxf3 31.gxf3。相手のポーンストラクチャーをかなり乱したのできっと勝てるだろうと楽観していたのですが、最後は以下のような局面となり、合意のドロー。

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以前よりもポーンの扱いが上達した気がしました。きっと小島君のレクチャーに通っているおかげでしょう。

2015年5月3日

全日本選手権3日目

5ラウンド目。白。Kさん。Colle。運が良いことに勝ちのラインに入ってくれました。12.BxNf6。

r1b2rk1/p4ppp/1pq1pB2/2bp4/5P2/1P1BP3/P1P3PP/RN1Q1RK1 b - - 0 12
ここでもし、12...gxf6 とすぐに取り返すと 13.Bxh7+ Kxh7 14.Qh5+ Kg7 15.Qg4+ Kh7 16.Rf3 (以下の図)でほぼ終わりです。なので、いったん 12...Bxe3+ 13.Kh1 を挟むことが出来ますが、それでも 13...gxf6 とすると似たようなラインになります。ドキドキして待っていたら黒がリザインしました。

私は読む力がない分、オープニングは知識で補っているわけですが、相手が格上でも運が良い時はその知識だけでこのように勝てたりします。
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6ラウンド目。白。Hさん。DutchのStonewall風。

大まかなプランとしては、9.Qe2 の後、クイーンサイドにキャスリングし、キングサイドのポーンをガシガシ突いていくというものでした。ところが、持ち上げた駒はクイーンでなくてキングでした。思わず「あ!」と声を出してしまいました(すいません)。泣く泣く、したくなかったキングサイド・キャスリングをする羽目に。これでもうかなり戦意を喪失。追い討ちをかけるように頭が痛くなってきました。

鎮痛剤が効いてきた頃に40手目を迎えて30分が追加されました。てっきり相手は孤立したcポーンを狙いに来るか、dポーンを進める手順を捻り出してくるものと考えていました。私の読みははずれ、相手はメイトを狙ってきました。防ぎきれずに、以下のポジションでリザイン。無念。


2015年5月2日

全日本選手権2日目

3ラウンド目。白。K君。Colle。

このゲームで一番後悔したのはここ。本譜は 14.g4 。それだと、14...Ne4 を許します。やり直せるものなら 14.Qf3 にします。


一時は2ポーンダウンでしたが、1個は取り返しました。これはドローくさいと思ったので(Fritzの評価だと -0.49)上記局面でドローオファーしましたが、黒キングはa3のポーンを取りに行きます。仕方なく、ナイトをビショップ+キングサイドのポーンと交換。中央のポーンが残りました。

上記局面でもまだドローに出来るだろうと思っていたらオポジションにあっさりとやられました。負け。
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4ラウンド目。黒。S君。Queen's Gambit Declined。

どうせならビショップはe7よりもd6に置きたい。その結果がこれ。10.Bxh7+ がグサッと刺さりました。相手のビショップはすぐに戻らなかったので閉じ込め、結果的に2ポーンとの交換になりましたが、白は次から次への厳しい手を指してきて、それ以上のマテリアルを返しました。

今日一番感動した手は上記局面からの 20.Rxf5! 。私が白ならばきっと候補手として思いつきません ...。で、もう指す手が見つかりませんでした。負け。
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今日はいつもより不注意が多かった気がします。

2015年5月1日

全日本選手権1日目

1ラウンド目。白。Sさん。Anti-Colle。

毎度のことながらキャスリングが遅いです。そして、痛いところを突かれました。f2 のポーンがピンで動けません。...fxe3 の後、f3 のポーンが ...Nxf3 で落ちるのが見えていますが諦めてキャスリング(17.O-O-O)。予想通り 17...fxe3 18.Bxe3 Bxe3+ 19.fxe3 Nxf3 という展開になり(下の図)1ポーンダウン。

ポーンストラクチャー的にもかなり終わってます。

ピースが交換されてなくなるともう絶望的です。上のポジションでリザイン。
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2ラウンド目。黒。Y君。Blackmar-Diemer Gambit。ギャンビットで差し出されたポーンはありがたくいただきました。そして、クイーンを交換し、ポーン差を維持できればドローにできるかもしれないというプランです。


16...c5 は自分では良い手だと思って指しました。ここで白が20分以上長考。17.a3 や 17.c3 なら 17...cxd4 のつもりでした。17.dxc5 Nxc5 の後に 18.a3 や 18.c3 なら 18...Nxd3 と指そうと考えていました。ところが、予想外の手が飛んできました。17.Bb5。指されてみれば、なるほど。17...cxd4 には 18.Rb3 があるので、ポーンを取り返されるのは避けられそうにありません(ナイトが動くか消えたら dxc5)。Rad8 18. Bxd7 Rxd7 19. dxc5 Rd5

ポーンを取り返せそうです。相手が間違えると(例えば、20.c3? Bxc5 21.Nxc5 ならば 21...Rxg5+ を挟んでから 22...Rxc5)さらに黒の有利が広がりますが、さすがにそんなに甘くないです。でも、20.h4 Bxc5 21.Nxc5 Rxc5 で、1ポーンアップに戻っただけでもかなりハッピーでした。

この後、お互いダブルルークでまったく勝機が見つけられず、ドローオファーされたら受けようと考えていました。しばらく指してみて局面の改善が望めないようだったらこちらからオファーしてもいいかなくらいにも思っていました。ところが、ルークを一組交換し、尚且つ、オープンファイルをキープできるポジションになりました。

さらに、connected passed pawns が出来ました。

ここで 38.c4 Ra1。

白がもしaポーンを守ったら ...Ra3+ でルークを交換し、黒キングをクイーンサイドに送り込めば勝てるかもしれないと期待していたところで相手の時間が落ちました。

2015年4月25日

小島君のレクチャー:ナイトのマヌーバリング


今日のレクチャーのテーマはナイトのマヌーバリングでした。受講前の想像では、closed なポジションにおいてナイトが縦横無尽に盤上を駆け巡るというものでしたが、それよりももう少し役に立ちそうな内容でした。ポイントは「ナイトの行く場所がないなら、自分で作る」です。

上のポジションは黒番です。a7 のポーンが狙われていますし、ナイトは c7 にいては役に立ちません。そこでまず 1...c5 ですが、それは単に a7 のポーンを守るためだけではなくて、...Na6-b8-c6 とナイトを動かすための準備でした。つまり、ナイトが働ける場所は c6(そこから白の e5 のポーンにプレッシャーをかける)と気付けることが大事で、且つ、それが一番難しいところでしょう。もしそのことに気付けたら、手順自体はそんなに難しくありません。

黒番です。これもピースがどこにいれば一番理想的かを考える必要があり、その目的を到達できるような手順を逆算しながら考えていきます。ナイトにとって b3 はアウトポスト(ポーンに追い返されることはない)なので理想的 → b3 に行くには a5 を通る必要があるので自分のポーンを突きたい → そのためには白の a4 のルークにどいてもらう必要がある → そのためには b6 にナイトを持ってきて攻撃すればいい → b6 に行くためには c7 のナイトを a8 を経由させればいい → ということで 1...Na8。説明されれば納得しますが、いざ自分がプランを立ててもそんな「風が吹けば桶屋が儲かる」的に物事がうまく進むことはまずないでしょうけれども、発想法としては非常に参考になりました。

2015年4月5日

GM Emil Sutovsky のイベント

レクチャーについては書き始めたら長くなってきたので、レポートという形でちゃんと(?)書くことにしました。また、レクチャー以外にも個人的に聞きたかったこと(Association of Chess Professionals って何しているの?)があったのでそれもレポートの方に載せるつもりです。今晩は同時対局の私のゲームについてだけさらっと触れておきます。



私の見える範囲ではすべて 1.e4 でした。私は当然 Scandinavian です。

GM Hikaru Nakamura の時はかなり早い段階でわき道に入られて迷子にされた感がありましたが、Emil はメインラインまっしぐらでした(上の図)。途中まではそんなに悪くありませんでしたが、同時対局では目の前にGMが来たら指すことになっているので、考えがまとまっていなくてとにかく指します。その結果、動かしたピースを次の手で元に戻すということが2回もあり、その間に白のポジションは改善されていきます。

パスポーンが出来ただけならまだしも、この 31.Re1 を見て負けを悟りました。次に 32.Re8 と来るのは明らかです。この2手後にリザイン。なお、隣のボードではGMにしかできないであろうビショップ・サクリ(取れない?)やチェックを喰らうルーク・サクリというド派手な展開だったのでかなり気になってしょうがありませんでした。自分も、どうせ負けるなら、そういうGM級のコンビネーションを喰らいたかったです。