2019年3月24日

東京チェス選手権2日目

4ラウンド目。黒。Sさん。Scandinavian。


上の局面から 23.Qg4+! という予期していなかったチェックを喰らい 23...Kh6 24.Bxf5 とポーンが落ち、他のキングサイドもポーンも結果的に落とされます。

時間が切れそうだったので慌ててピース交換をしてしまいましたが、クイーンだけは交換しないように気を付けていました。が、ついうっかりやってしまいました。ポーン3つを止めるのは無理なので以下の局面でリザイン。

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5ラウンド目。白。M君。Pirc。


このゲームは黒の 18...Nxb2! で決まったようなものです。この先、お互いにピースをタダで落とすというブランダーがありましたが、脳ミソがもう疲れていたのかもしれません。負け。
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6ラウンド目。白。M君。Pirc。


定跡通りに指してくるし、ここで 7...Bh8 と引くあたり、レーティング800とは思えません。


12.f3?。指してからブランダーと気付くパターン。12...c5-c4 とされたらビショップ死亡です。負けを覚悟しましたが、幸い、黒がその手に気付かなったようなので助かりました。


ここでも黒の方が1ポーンアップですが、16...Qxd2+ を挟まなかったのはミスでした。16...bxc6? 17.Qxd8+ Rxd8 18.Rxd8+ ではチェックメイトは避けられません。恥ずかしいゲームでしたが、勝ち。
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2勝4敗。レーティングが近かったのは5ラウンドの相手だけで、他のゲームはレーティングの増減がほぼゼロに近い気がします。

2019年3月23日

東京チェス選手権1日目

タイムコントロールは45分+30秒/1手。

1ラウンド目。黒。Hさん。Scandinavian。


レーティング差が600あってもここまでピースが減ってくればチャンスがあるかもしれないなどと考えましたが、甘々でした。このポジション、d6のポーンを構造的に守りにくいのです。本譜の 16...Nhf6 は悪手でしたが(17.dxe6)そうでなくても、自分から 16...exd5 としても 17.Rxd5 で d6 のポーンを守るのは厳しいですし、16...e5 と突き越しても 17.Ne4 や 17.Nf5 で d6 に圧力をかけられます。

展開の差(白のルークの位置が良いのに対して黒はキャスリングすら出来ていません)を巧く利用されてひたすら攻撃され、ジリ貧負け。以下がリザインした局面。

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2ラウンド目。白。S君。Colle。


9.f3 に対抗する 9...f6? はブランダー。本人も指した後に気付いたそうですが、10.Nxc6 が黒クイーンに当たるので、e4 のナイトが落ちます。

これ以降はピースの等価交換を続けてこちらにビショップが残り、勝ち。

相手はチェスを始めてまだ1~2年らしいのですが、検討戦で考えていたことを聞くとすごくよく考えていて驚きました。将来有望な若者です。
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3ラウンド目。白黒。T君。Larsen's Opening。

オープニングのフェーズが終わった頃はこんな感じ。これで黒なら悪くないと思います。

しかし、以下の局面でブランダー。

23...Qxd8 ならば評価 0.00 なのに、23...Rxd8 と取り返したものだから 24.Ba5 が刺さり exchange down。


白はここで 46.Rxc3 として、クイーンサイドの connected passed pawns を得ます。少し粘ってみましたが、stalemate の見込みすらないことが分かった時点でリザイン。

2019年3月22日

新しいトレーニング(チェス、スペイン語)

<チェス編>
これは是非覚えておきたいというチェスのポジションはありませんか?そういうポジションに出くわした時、ちゃんと1年後でも覚えていられますか?

私は自分のゲームや Chess.com の Tactics や twitter で流れてきた問題で覚えておきたいと思ったポジションはスクリーンショットを撮っていました。でも、それだけ。

そんなある日(先月の福岡選手権ですが)自分のゲームで教科書的な Colle の 15.Bxh7+ がキマり、こんなポジションになりました。

15...Kh8 の代わりに 15...Kxh7 なら 16.Rh3+ と 17.Qg4# の2手メイトなので楽勝のつもりでした。15...Kh8 でも6手メイトなのですが、仕留め方が分からず結果的に黒キングを逃がしてしまったのはブログに書いた通りです。実はこれは個人的には非常にショッキングな出来事でした。で、次回同じポジションになったら「絶対、絶対、絶対メイトしてやる!」と自分に誓います。でも、忘れないようにするにはどうしたらいいのでしょう?

最近電車の中では既に一度は読み終えた『Chess Training Pocket Book』を読み返しています。私は駒を動かさずに頭の中で考えるのが非常に苦手なのでこういうアナログな手法の方が(とりあえず1手指してみて相手の反応を見れる Chess.com の Tactics よりも)練習に向いていると考えたからです。この本の序章に実はいろいろ良いことが書いてありました。例えば「GMでも忘れる。忘れたくないポジションは繰り返し見ろ。」とか「この本は私(著者)にとって有用だと思うポジションを集めたものだ。同じテーマ(例えば、backrank)であっても人によって分かり易いポジションは異なる。だから、本当は自分にとって分かり易いポジションを使った方がいい。」とか。それで、決めました。福岡でのゲームを含め、自分がかき集めてきたポジションの画像を有効活用しよう、と。

この目的のために、自分の集めたポジションをスマホ(iPhone)で見れるようにしました。やりたいことはフローチャート的にはこんな感じです。解答が分かるならいちいち表示しないでさっさと次の問題に移りたいので。

実際に iPhone で見るとこんな感じ。

実物を見たい方は ここ をクリックして下さい。まだ問題数が少ないですし、あくまでも私向けなので面白いとは限りません。また、ただの画像なので駒は動きませんが、解答には FEN を載せてあるので解析用アプリにコピペして使うことは出来ます。

電車に乗っている時の隙間時間とかにこの自分用のトレーニングサイトを活用すれば、私は覚えたいポジションをずっと忘れないはずです。継続できる自信はあまりありませんが、とにかく行動して改善を繰り返すことが大事だと思ってます。

<スペイン語編(おまけ)>
Duolingo は毎日やってます。しかし、それだけだと大きな進歩は期待できないんです。上達を望むなら動詞の活用をちゃんと覚える必要があります。スペイン語の1つの動詞には70以上の活用があり(しかも例外パターンがわんさか)それをすべて暗記するの大変です。それで億劫になってましたが、真正面から取り組まないとスペイン語を勉強している意味がありません。というわけで、上記のチェスと同じ原理のトレーニング用のサイトを作りました。

実物は ここ で見れます。私と同じようにスペイン語の動詞を覚えたい方には役に立つと思いますが、このブログを読む人のほとんどはチェス勢でしょうから、そんな人はほとんどいないでしょうね。

2019年3月10日

世田谷チェスリーグ1日目


2年前だったら考えられなかったようなFIDEレート戦です。ご存知ない方のために説明しておくとチェスの強さを示すレーティングには国内レーティングと国際的なレーティングがあり、FIDEと呼ばれているものは後者。昨年まではFIDEレートを採用する大会は2つしかなく、そのうちの1つ(全国大会)は予選を勝ち抜かないと参加できないので実質年1回でした。しかし、昨年 FIDEアービターの資格が取れる研修が日本で開催され、また、今年に入ってから日本を代表するチェスの組織がJCAからNCSJにバトンタッチされた結果FIDE戦が増えました。NCSJが直営する大会以外に今回の世田谷チェスリーグのようにFIDEアービターの資格を持った人が大会を開催してくれたからです。つまり、年1~2回しか参加できなかったFIDEレート戦が年数回に増えたのです。これは迷わず参加するでしょう!しかし、世田谷チェスリーグの定員の20人はあっという間にあるかと思いきやそうでもありませんでした。

参加者は事前に公表されているので分かっていましたが、一番レーティングが高い人でも1900以下、そして、私のレーティングがほぼ中央値。最近のJCAの大会はレーティングが2000オーバーの強者の集まりで、私は弱者でしたので、この世田谷チェスリーグは丁度良い感じがします。また、JCAの大会よりも知らない人の割合が多目です。

1ラウンド目。白。初対局のTさん。Colle。

チェスを始めてまだ1年だそうです。

8...Nxe5?。私も初心者の時もこのミスをやりました。10年以上経った今でも覚えています。できれば自分のビショップを残しておきたいのでナイトで取るのですが、

この 9.dxe5 のポーンフォークを喰らいます。昔の私はこのミスでビショップの遠くからの利きの威力を学びました。


15...b6?(上の図)。自分は大して強くないつもりでいますが 16.Qd5+ でa8のルークが落ちることは気付けますし、初心者は気付かなかったということはやはり自分も10年前に比べたら強くなっているのでしょう。

勝ち。
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2ラウンド目。黒。Hさん。QGD。


11.cxd5? Bxc3 12.Bxc3 e4
白のミスのおかげでポーンフォークが入りました。これでピースアップできます。


ここは悩みました。当然f6のナイトは動けません。しかし、21...Bxf3 22.exf6 Bxd1 23.Rxd1 と進んだ場合の損得勘定が私にはとても難しく、自分が損すると判断。困った挙句に指した手は 21...Bf5。しかし、21...Bxf3 がベストでした。ここが考えどころだと分かっていて必死に読もうとしているのにちゃんと読めていないのは悲しいです ...


白はピースダウンしているとは言え、格上です。こういう罠みたいな手(30.Rd8)を指してきます。数年前の私だったら対処方法が分からずにパニックしていたかもしれません。が、今回は指してくることを予想できていた上に 30...Rc8 とすぐに正しく対処できました。こうやって自分が何かを学んでいることを感じられるのは嬉しいです。


当然ですが、白はなかなかクイーンの交換には応じてくれません。なので、プランを変更しました。クイーンサイドのポーンを落とし、Qxg2+ による強制クイーン交換(Qxg2 ...Bxg2 Kxg2)の後にビショップまで返しても勝つために十分なポーンを確保しました。ここで白リザイン。

簡単に勝たせてもらえなかったので、勝利を勝ち取った感がありました。
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1ラウンド目と2ラウンド目の間が長かったので若いプレーヤーのオープニングの解説を聞いていたのですが、詳しくて驚かされました。いろんなオープニングの解説をしているのですが「Kramnikがこの手を研究して見つけた」云々、私なんて自分の使うオープニングですらそんな風にすらすらと説明できないのでどうやったらそんな風になれるのか不思議です。私と比べたらきっと記憶力も理解力もすごく良いのでしょうね ...