2018年7月16日

Summer Open 2日目


先に結果と感想を書いておきましょう。BクラスとAクラスで1位です。

アップセット勝ち(レーティング差200以上に勝ち)が2つあったのが大きいのでしょう。下降気味だったレーティングが上向くのは当然嬉しいですが、思いのほか多くの方に「おめでとう(ございます)」と言っていただけたことがすごく嬉しかったです。ありがとうございます。

もう若くない人間でもコツコツと続けていれば結果を出せる(こともある)という見本になれたらいいなと思いました。
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4ラウンド目。白。R君。4ヶ月前に当たった時は945だったレーティングがもう既に1793です。まさに伸び盛り。オープニングはPircっぽい始まり。


オープニングのフェーズを終えた時点でのポジションは白の方が良いのは分かるのですが(コンピュータ評価では +2.87。え?そんなにいい?)具体的にどう攻めればいいのか分かりませんでした。


ここらへんから私の持ち時間が1分程度になり、パニックモードに入ります。f4のポーンを守らなければならない(しかも、黒はg5のポーンを取れるのは分かっていましたがどうしようもありません)且つ、残り時間が少ないという負担から自分の方が劣勢だと感じていましたが、意外にも評価は1.39。しかし、時間がないとまともな手を指せないので、ここから徐々に状況が悪化します。

上記の局面が(評価値においては)黒のピーク(-1.04)。しかし、もったいないことにブランダー(45...Ne5)1つで局面がひっくり返ります(+7.23)。46.Qc8+

46...Qf8 47.Rh8+ を期待しましたがダメでした。46...Kf7 47.Qxc7+ Ke6 48.Bh3+

このあと少しで黒リザイン。
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5ラウンド目。白。K君。Modern。


上は白が展開を終えた時点です。黒はダブル・フィアンケット、...e6 と ...d6 で低く構えていて、いかにも hyper modern。自分の使うオープニングにはないスタイルです。


自分のピースが2つも隅っこに追いやられました。こういう手法にレーティングが2000を超えている人の強さを感じますね。


黒がロングキャスリングをしたら、白から攻めやすくなりました。しかし、私の持ち時間は数分。1手にあまり時間をかける余裕がなく無難な手しか指せません。例えば、ここでは最善手は 28.b4 のようですが、g2 の守りの要である e1 のナイトを守れるように、より無難な 28.Rd1(相手Bをd2に来させたくない)を選んでます。


本譜は 31...Be2?。私はそんなに悪い手だとは感じていませんでしたが、コンピュータの評価ではこのゲーム中で黒のベストのポジション(-3.72)からの逆転(+4.21)を許したブランダー。最善は 31...Nf3+ 32.Nxf3 Bc1 33.Ne1 Bxb2 だったようです。自分が指した 32.Rxd4 exd4 33.Qxe2 にはそんなに自信はなかったのですが、それはたまたま最善手でした。


見つけるのがそんなに難しくない discovered attack の 38.Ne5です。38...Qa7 の後、たまたま 39.Nxf7+ のナイトフォークをかけられる位置になっていました。そして、ここから黒の駒を落としていくのにそれほどの技術は要しません。勝ち。

この日の最初の2ゲームがアップセットになるわけですが、残念ながら(?)いずれも華麗なコンビネーションを私が決めて勝ったとかではありません。
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6ラウンド目。ここまで1敗しかしていないため、最終ラウンドなのに3番ボードという異例の事態。黒。相手はプロ棋士です。Semi-Slav Meran variation。


私はオープニングをほとんど変えないわりにはそんなに詳しいわけではありません。この手のオープニングは黒が ...c5 を突ければだいたいOKという程度の感覚で指していますが、今すぐそれをやるとbポーンが落ちるのでその前に 9...a6?! で補強しました。今 自分のオープニングのメモを見ると このブログへのリング が書かれていてそこには「黒が覚えなくてはいけない変化」まで書かれているのにまったく頭に入っていなかったことが分かりました。あと5回くらい同じ間違いを繰り返さないと覚えない気がします。


正しくはここでクイーンを逃がさなければならなかったようです。理由は本譜のように 14...Be7 を指すとそのビショップがピンで動けず 15.Nd6+ Kf8 16.Nxb7 を喰らってピースダウンするからです。レーティングが1000近く離れている相手にこれはもう致命傷。


それでも粘っていたらこうなりました。何を指しても何かが落ちるので投げやり気味で 24...Qxc1 を指しましたが、実はこれが最善手だったという悲しい状況でした。

あと1手指してリザインしました。
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最後のゲームが終わった時点で周りの人から入賞していると言われ、状況を確認しました。普段は他の人のポイントとかタイブレークとかまったく気にしないのですが6ラウンドの開始時点でAクラスもBクラスも自分以外な3.0ポイントが最高だったのでその人達が勝ったとしても同率に並ぶという状況でした。珍しいことなので、そういう人達のゲームを観戦してました。


2018年7月15日

Summer Open 1日目

タイムコントロールは45分+30秒/1手。

1ラウンド目。白。M君。Queen's Pawn Opening。

URだと詐欺レーティングを疑うのですが、ここで

5...Qd7? を指してくれたので、少なくともめっちゃ強いとかはなさそうと安心。6.Ne5 Nxe5? 7.Bxd7+。潔さに驚きました。

そして、7...Bxd7? を見て正真正銘の初心者だと分かりました。さすがにこれは負けません。
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2ラウンド目。白。Nさん。Queen's Pawn Opening。

序盤は 4.dxc5 で取ったポーンに

4...Qc7 5.Qd5 でしがみつくという作戦。その代わり展開が遅れます。

中盤は私がタクティクスの見落としでポーンを取り返されたこと以外に特筆すべき点はありません。そして、長いゲームだったため終盤は観客が大勢いました。私も、そしておそらく観客の多くは黒が勝つと思っていたでしょう。

実際、上記のポジションでコンピュータは Mate in 24 と評価しています。ところが時間がないので黒が致命的なミスをしてくれました。本来ならば、fポーンを進めてプロモーションして捨てて、その後にcポーンを進めれば勝ちのようです。本譜は 67...c2+? 68.Kc1 f2 69.Rf3

69...Kxe4?。ゲーム中はそんなに悪い手には見えませんが評価的には Mate in 12 という悪手。正しくは 69...Rc8 だったようです。70.Rxf2 Ke3 71.g8=Q

ここで黒がリザイン。すごくラッキーでした。
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3ラウンド目。黒。Bさん。Scandinavian。

オープニングでいつもと違う手を指したのが裏目に出ました。こちらのミスを咎めるのがとても巧くて感嘆するしかありません。そして、最後の手は、

ここから 14.Bxg6+!。メイトされるのは見えているのでリザイン。見事なフィニッシュ ... 格が違いすぎます。