2013年11月29日

死者が出る前に降参

先日「駒が1つも消えることなく勝つことがあるか」という問いに対して私は「無理でしょ」と思ったのですが、チェスコーチの 上原君 の「ありますよ、Blackburne のゲームとか」という回答に愕然としました。そんなゲームがあること自体驚きなんですが、誰のゲームか言えるところもまた驚きです。

どんなゲームだったのか探してみたらみたら見つかりました。これです:
1.e4 e5 2.f4 Nc6 3.Nf3 d6 4.Bc4 Nh6 5.O-O Be7 6.d3 O-O 7.f5 Ng4 8.Nc3 Nb4 9.a3 Nc6 10.h3 Nf6 11.g4 Na5 12.Ba2 b6 13.g5 Ne8 14.h4 Kh8 15.Nh2 f6 16.g6 h6 17.Qh5
で、これが最終局面図:

チェックメイトにはなっていません。しかし、これは6人を相手にした目隠しチェスだったそうです。そして、白が Bxh6 から勝ちに来るのを黒は止められないらしい。

近況

●Anand対Carlsenのマッチでは、Carlsenの方が勝つだろうと予想しつつも同じ1969年生まれのAnandを応援していました。今まで国外の大会の中継を見ることはほとんどありませんでしたが、時間帯がよかったこともあり(日本時間の18:30~)何ゲームかは “聞いて” いました。家にいる時はもちろん見ていましたが、ほとんどはウォーキングしながら解説の声を聞いていただけです。公式サイトの解説者は黙ることなくほとんど喋り続けてくれたのが救いでした。1時間ごとに解説者が交代していましたが、それはきっと喋り続けるのが大変だからでしょうね。

●6月の武蔵野の大会でいただいた本『Practical Chess Exercise』は200問解きました。全部で600問なので、ちょうど1/3です。その武蔵野の次の大会はもうすぐです。

●以前、時間がなくて挫折した High-Speed Replay Training(手の意味は考えずにとにかく高速で並べる) を『The Mammoth Book of The World's Greatest Chess Games』を使って再開しました。毎日は無理なので時間がある時にやれるだけって感じで。

驚いたことに見覚えのある局面が出てきました。そのゲームは Alexander McDonnell vs Louis Charles Mahe De La BourdonnaisWilhelm Steinitz vs Curt von Bardeleben です。いずれも小島君のレクチャーでした。記憶力には自信がないのですが、意外に覚えているものなんですね。

●12月は函館の大会に参加します。函館に行くのは初めてですが、函館チェスサークルのホームページを見ているとTDがとてもしっかりしてそうです。

2013年11月24日

松戸クラブ選手権2日目

4ラウンド目。白。Nさん。先日のスカイオープンでブリッツを少し指しましたが、公式戦は初めてです。予想通り Pirc になりました。

r4rk1/ppp1ppb1/2np3p/8/3PP1qN/2N5/PPPQ1PP1/R3K2R w KQ - 0 14
ここが天国と地獄の分かれ道。本譜は 14.f3 Qg3+ でこのクイーン・チェックを見落としてました。15.Kd1 Nxd4 とどんどん悪くなっていき、負けました。14.Nf5 なら 14...Qxg2 に対して 15.o-o-o から強力な攻撃ができます。
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5ラウンド目。黒。Kさん。Scandinavian。序盤 白が穏やかだったので調子に乗って相手からの攻撃への対処は最小限にとどめて好き勝手していたら、ここに来て Ba5+ が痛そう なことに気付きました。

3qr2r/ppk5/3b3p/2P2p1n/P2p2pP/3P2P1/3B1P2/R1QB1RK1 b - - 0 23
ここで考え込んでしまい、23...Be5 を指した頃には1分くらいしか持ち時間が残っていませんでした。24.Ba5+ b6 25.cxb6+ Kb7 でなんとか耐えしのぎましたが、その直後の相手のthreatがまったく見えておらず頓死。
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6ラウンド目。白。U君。Colle。次から次にこちらの指した手順のまずいところを咎めるような手を指して来ました。それに振り回されて白のピースはまともに働いていません。

1br2rk1/pp3ppp/2nqpn2/3pN3/3Pb2N/PP5P/1BP1BPP1/R2Q1RK1 b - - 6 15
本譜は15...Nd7 16.f4 でしたが、検討の際に南條君がこのポジションを一目見て 15...Bxc2 が出来そうと指摘。16.Qxc2 には 16...Nxd4 でクイーンは逃げねばならず、メイト・スレットを持った 17...Qxe5 があります。格の違いを感じます。
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今日は3連敗。最初の2ゲームは多少なりとも攻撃のプランがあって楽しめましたが、最終ラウンドだけは白番なのに良いところがまったくなくオープニングの課題ができてしまいました。

写真はたぶん明日ホームページに載せます。

2013年11月23日

松戸クラブ選手権1日目

1ラウンド目。黒。Hさん。土曜日の午前中はお仕事でチェスが出来ないという印象があったのですが、今日は土曜日でも祝日(勤労感謝の日)なので大丈夫だったそうです。Scandinavian。



黒はポーン・ストラクチャーが悪いです。その上、19.Nxf5 と取られてしまいました。ここからじわじわとポジションが悪化していき、ルークのエンドゲームでボコボコにされました。負け。
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2ラウンド目。白。Tさん。対局前に時間があったのでノートPCで彼との過去のゲームを振り返ったら 1.d4 d5 が2ゲームあったので再度そのラインが来たらどうしようか悩んでいましたが、始まったら Pirc(1.d4 Nf6 2.Nf3 g6 3.Nc3 d6 4.e4)でした。

rn1qr3/pbp2pkp/1p3np1/4N3/4PQ2/2NB4/PPP2PPP/R3K2R b KQ - 2 12
上の局面になる直前は 11.Nxe5 でポーンを得し、Rfe8 と当てられ、12.Qf4 でe4のポーンとe5のナイトを同時に守ったつもりでした。ところが、12...Qe7 でマズイことになることに気付きました(12...Qd6 はもっと厳しいです)。ポーンなんか狙わないでキャスリングしておけば良かったと後悔していたら、12...Nbd7 が来て一安心。でも、危なかったです。この後、相手のブランダーがあり、勝ち。
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3ラウンド目。黒。Sさん。Semi-Slav。圧殺されそうでした。



が、ポーン・ストラクチャーを崩さないように耐えていたら、ポジションが改善。



駒がかなり減ったところでドロー・オファーしましたが、相手の方が残り時間が少なかったにもかかわらず却下され、続行。


8/8/1rn1p1k1/1pK5/1B2P3/7R/6P1/8 b - - 17 61
ナイト・フォークをかけたら上の局面のようにキングに迫られてエクスチェンジ・ダウンしそうでしたが、ここは 61...Ra6 62.Kxb5 Nxb4 63.Kxb4 を見つけて1ポーン損で済みました。この後、相手のeポーンを取り、ドロー成立。ドローでもレーティングがかなり上がりそうです。
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ラーメン通のOさんに美味しい鶏そばがないかと尋ねたところ北千住に開店したばかりの麵屋 音という店があると教えていただいたので帰りにさっそく寄ってみました。なかなか美味しかったです。

2013年11月10日

スカイオープン

この大会は会場がビルの最上階で見晴らしがとても良かったです。写真は明日以降にホームページに掲載します。

1ラウンド目。白。Twitterでは名前(アカウント名)ををよく見かけるR君。実際に会うのは初めてです。Colle。


r4r2/pbqn1pk1/1p2p1p1/3pP2n/3P2QP/BP1B4/P1PN1R2/5RK1 b - - 7 19
19.Ba3 と指したところです。ルークをf8から退かすと 20.Rxf7+ が致命的なので黒はルークを動かさず、19...Nxe5 とナイトを切ってきました。20.Bxf8+ Rxf8 21.dxe5 は黒のルーク・ダウンです。勝ち。

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2ラウンド目。黒。Iさん。Slav。1.d4 d5 2.c4 c6 3.Nf3 Nf6 4.Qb3。この4手目は初めて見ました。



中盤以降、苦しいながらもなんとかマテリアルをイコールに保ってきました。ところが、やっと 52...Nxb3 でポーンが取れると思ったら、53.Bd5+ でナイトが落ちました。即リザイン。

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3ラウンド目。白。Aさん。Colle。マテリアル的には得していました(B対R+Pの差)。...Qxg5+ を喰らわないようにどう攻めるか考えていたら良い手が見つかりました。


26.Rh8+。黒はここでリザイン。もし続けると、黒には26...Kxh8 しかなく、27.Ng6+ のナイトフォークでクイーンが落ちます。

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4ラウンド目。黒。S君。Semi-Slav。2ラウンド目と同様に、苦しい状況の中でやっとポーンを取れる状況がやってきました。

しかし、29...Rxd5? はダメです。30.Ne7+ のナイトフォークを喰らいました。さらに間違えてナイトまでタダで差し出してしまい、リザイン。

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今日は1ラウンド目に当たったR君以外にもTwitterのフォロワーさんに会うことが出来ました。

2013年11月4日

ジャパン・オープン3日目

7ラウンド目。白。Fさん。Colle。お互いの手順は異なりましたが、一時的に対称形になりました。



5rk1/5r1p/1pp3p1/p4q2/P1Q1p3/1P2P2R/2P3PP/R5K1 w - - 4 27

黒にメジャーピースを並べられ、かろうじてルークの1つをピンしている局面で間違えました。これでもし今黒番ならば 27...Qf2+ 28.Kh1 Qxe3 と来るであろうと予想し、それならば 29.Rxe4 が出来るようにと考えて指した 27.Rh4? がブランダー。27...Qf2+ 28.Kh1 Qxh4でルークが落ち、その場で即リザインしました。

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8ラウンド目。黒。富山県から来られたHさん。Scandinavian。


相手のビショップを捕獲。これで勝てると思いました。


1b3Nrr/1p1k4/p1p2R2/2Pn3p/3P4/1P4P1/P5KP/5R2 b - - 4 38
ところが、ここで 38...Rxf8 39.Rxf8 Ne3+ 40.Kf2 なら 40...Rxf8+ でさらに駒得すると考えたのが間違いでした。40.Kf2 ではなく 40.Kg1 だったので単なるルークとナイトの交換になってしまい、ピース的には B+N 対 R になってしまいました。残り時間が5分より少ないとこの手のミスは避けられません。


幸い、55...Bd8+ が逆転の一手となりました。キングがどちらのマスに逃げてもナイト・フォークが入ります。

この後も白は粘る姿勢を見せたので、あえてナイトとポーンを交換し、分かりやすく勝てる局面にしました。以下はFritzの評価を視覚化したものです。緑は白が有利、赤と黄色は黒が有利。シーソーゲームだったことが分かります。勝ち。

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私は2勝3敗3分で負け越しですが、レーティングは微増したと予想します。
大会の写真は明日アップする予定。

2013年11月3日

ジャパン・オープン2日目

4ラウンド目。黒。S君。Scandinavian。

1k1r3r/1pp2pp1/pn1q1bp1/2BP4/5P2/P4BP1/1PQ4P/2KR3R b - - 2 22
上の局面は白が 22.Bc5 と指しクイーンに当ててきたところです。私は自信満々に 22...Bxb2+ と返しました。本譜は23.Kxb2 Qxc5 24.Qxc5 Na4+ 25.Kb3 Nxc5+ でポーンアップで、仮に 23.Qxb2 なら 23...Qxc5+ のつもりでした。が、白には 23.Kb1 で取らないという選択肢もあったことを見落としていて、それを指されていたら負けてました。

その後、ドロー・オファーされましたが一度は拒否して指し続け、再度オファーされた時点で勝ち方が分からなかったので受けました。レーティング差が500以上あったのでドローでもハッピーです。

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5ラウンド目。白。Aさん。Chigorinもどき。

2r1kbnr/3q1ppp/p1p5/1p1p4/5B2/1QPbPB2/PPN2PPP/R4RK1 w k - 2 16
黒が 15...Bf5-d3 と指してきました。クイーンやナイトの位置は後で改善するつもりで、とりあえずルークを逃がします。Rfc1? Bc4。クイーン死亡。まったく見えてませんでした。相手はこの時点でキングサイドのピースを動かしてさえいません ... 負け。

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6ラウンド目。黒。Eさん。QGD Cambridge Springs。


r7/pp3pk1/2p4p/3nPB2/3P4/2P5/6PP/1R4K1 b - - 2 24

この局面で消極的にも 24...Rb8 を指しましたが、24...Nxc3 で良かったようです。25.Rxb7 なら 25...Ne2+ の後、26...Nxd4 が出来ます。実際にはこの後ポーンが1つずつ落ちていき、最後はルークがタダ落ちした時点でリザイン。

2013年11月2日

ジャパンオープン1日目

1ラウンド目。白。Kさん。Pirc。ドローでもレーティング的には痛いので勝たなければなりません。こちらもミスはしていたのですが相手の方がより大きなミスをしたので、イニシャチブが取れました。

r2r3k/ppqn3p/2p2npQ/4p3/2B1P3/2N2P2/PPP2P2/2KR3R w - - 2 18
18.Qxg6。これで1ポーンアップですが、Rdg1というメイト狙いの手に対応するには黒はさらにマテリアルを犠牲にしなければなりません。勝ち。

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昼は会場近くの鰻屋さんで食べました。

2ラウンド目。黒。H君。Scandinavian。50分は短いと感じます。1ポーン・アップでしたがタイムトラブルに陥る気がしたのでそうなる前にドロー・オファー。Accepted。



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3ラウンド目。白。Aさん。Barry Attack。東京オープンの時はオープニングの手順を間違えて覚えていて序盤で失敗していましたが、今回はスムースでした。そのかわり、攻撃をあまりさせてもらえず、ピースをどんどん交換させられ、ルークのエンドゲームとなりました。


8/p6p/2p1k1p1/1p1p2P1/1P2p2P/2P1Pr2/P3KP2/6R1 w - - 1 30
...Rh3 を防止するために指した手が 30.Rg3。指した後で 30... Rxg3 31.fxg3 Kf5 とされるとマズイと気づきましたが、幸いにも相手ルークが 30...Rf5 と引いたので 31.Rh3 でドロー・オファー。Accepted。危なかったです。検討中にいろいろ教えてくれた enju さん、ありがとうございました。