2015年8月22日

小島君のレクチャー:ピース交換すべきか?



自分の悪いビショップは相手の良いビショップと交換してしまうという考え方があります。上の図で、黒の白マスのビショップはe6のポーンに邪魔されて活躍が期待できません。6...Ba6として白のd3のビショップと交換すべきでしょうか?

白には Qa4+ があるのでそれは悪い手だとすぐに察しましたが、すぐに 7.Qa4+ としても 7...Qd7 で防げることは見落としていました。白が駒得するには先に 7.Bxa6 Nxa6 としてから 8.Qa4+ です。これで a6 のナイトが落ちます。

今回のレクチャーのポイントはこのようなタクティクスではなく、ピースの交換の良し悪しです。しかし、私にとって一番興味深かったのは最後に取り上げられた Ruy Lopez の Exchange variation における白の戦略。1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 a6 4.Bxc6 dxc6 5.d4 exd4 6.Nxd4 になると、

白のe4のポーンはパスポーンになるので、白のおおまかなプランとしてはピースをすべて交換し、ポーンのエンドゲームにして勝ちを狙うというもの。こういう長期的なプランが明確なオープニングは魅力的ですね。だからと言って 1.e4 に転向するつもりはありませんがポジション的に応用できる局面がもしあれば、迷わずそうします。

2015年8月16日

ジャパンリーグ4日目

7ラウンド目。白。Fさん。Barry Attack。

ここまでは満足。不思議なことに相手もこれで良かったそうです。私だったらこの局面で黒を持ちたくないんですが。ここからeポーンを守るために 16.Qg3 とし、16...Qg6 に狙われたc2を守るために 17.O-O-O としたのですが、17...Rf5 にeポーンとビショップを同時に攻められて困りました。

eポーンは諦めてビショップを守ろうと指した 18.Bf4 でしたが(18...Qxg3 19.Bxg3 なら 19...Bxe5 が出来ます)、そのビショップを 18...Rxf4! と取られて唖然。あやうくそのルークを取るところでしたが、取ったら ...Bh6 に直撃されるところでした。2手後に情けない頓死をしましたが、そうでなくてもどのみちこれは負けでしょう。
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結果、2/7と振るわず。

2015年8月15日

ジャパンリーグ3日目

5ラウンド目。黒。初対局のN君。Slav Exchange。

14...Bxg5 と取りました。この後は当然 15.Nxg5 Bxe2 16.Nxe2 Nd2 をフォークが入れられると期待していたのですが、ピースを取り返さない 15.Qd3 が来て驚き。白は代わりに 16.Na4 の discovered attack で b3 の ナイトを取り返すプランだと気付きました。15...Bf5 で白のプランを妨害したつもりだったのですが 16.Qd1 Be7 17.Na4 で結局そのタクティクスを入れられちゃいました。


白が再び攻撃してきました(↑)。ナイトフォークを避けるために 22...Rf8 としたら、23.Nd7 でルーク達がフォークされ、exchange down。

その後、私はクイーンサイドの相手ポーンを取り、クイーンサイドのポーンを突いて反撃。

ところが、ここで相手がなんと 44.Rxb2! で迷わずにパスポーンを取ります。白はgポーンをプロモーションさせられるのならルークなんて捨てられるということなのでしょう。44...Nxb2 45.Rg1

仮に 45...Kf8 としても、46.g7+ Kg8 47.Nf6+ でプローモーションが止められません。これはかなり絶体絶命な状況。ナイトが f6 に来るのを阻止するには ...Be7 しかなさそうです。そのための1手をどうやって稼ぐか?
45...Nd1+(ルークで取ってくれればその必要な1手が稼げます。向こうもルークを切ってるし、こちらもプロモーションを阻止するためならナイトくらい捨てられます) 46.Ke2(当然取ってくれません) 46...Nc3+ 47.Kd3 Ne2 48.Kxe2 Bb4。私は別のプランを見つけました。

49.g7 は予想通り。49...Ra2+ は意味の無い時間稼ぎにしか見えないでしょう。実際、相手はもう私にリザインして欲しかったらしいです。白キングは1段目に行くと 50...Ra1+ を喰らうことが明らかなので前進します。50.Kd3 Rd2#。相手は相当ショックを受けていました。これは粘って良かったですし、粘る価値があるという証明のようなゲームでした。

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6ラウンド目。黒。Iさん。Scandinavian。

最初のうちは d4 のポーンにプレッシャーをかけてました。そのせいか、Fritz の評価では既に黒の方が少し良いです。既に取れそうに見えますが、9.Qa5+ があるので実際には取れません。

じわじわとポジションを改善しました(↑)。ポーンも1個得しています。レーティングが2000オーバーの相手にこのような状況に持ち込めたのは奇跡的です。f1のルークはf2のポーンを守っていなければならない点を利用してf2へのプレッシャーを強化しました。26...Nd1? 27.Ng1。なんと、クイーンが閉じ込められてしまいました。

なんとか 27...Qxg4+ 28.Kxg4 N1xf2+ を見つけました(下の図)。相手のクイーンを道連れに出来たのは幸いでしたが、ピースダウンです。かなり悲観的になっていましたが、信じがたいことに Fritz の評価だとこれでもまだ黒の方が若干良いという評価です。

下の局面でちょうど Fritz の評価が 0.00。しかし、相手がルークをhファイルから回してくるのが分かっていても止められませんでした。負け。

2015年8月14日

ジャパンリーグ2日目

3ラウンド目。白。初対局のS君。Queen's Indian っぽい始まりから Colle に転移。

ここ(19.Ng4)で勝った気になりました。ところが、19...Rc6 であっさり防がれます。20.dxc5 で b2 のビショップを援軍に送り込もうとしましたが 20...f5 でクイーン交換を強制させられ、失速。ちなみに、19手目も20手も Rg3 の方が良かったようです。

その後、ルークを2段目に重ねられてしまいもう何も出来ませんでした。以下の局面でリザイン。

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4ラウンド目。黒。初対局のA君。Anti-Colle。

序盤はこんな感じ。g4に来た黒のビショップをhポーンとgポーンで追い払い、さらに追い撃ち。このhポーンを放置しておくと次の h4-h5 でビショップが閉じ込められるので黒は 10...h6 か 10...h5 による逃げ道確保を強要されます。そこで、11.Nxg6 fxg6 でg6のポーンを弱点にします。


25.Bxf5。25...gxf5 と取り返した方が被害が少なかったかも。本譜は 25...exf5 26.Qd5+ Kf8
27.Qxd7 でピースアップ。しかし、27.Nd6 の方が強かったのではないかと相手に指摘されました。相手の方が良く見えてますね。それでも、勝ち。やっとポイント取れました。
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今日は昨日に比べると腰痛が大分 楽でした。

明日のペアリングがもう発表されてます。明日も初対局の相手になる予定。

2015年8月13日

ジャパンリーグ1日目

1ラウンド目。白。

さすがは日本チャンピオン。ここらへんで(下の図)白は何か間違えたんじゃないかと言われたあたりから本当に Fritz の評価が黒に傾いていました。

ここから徐々に悪くなっていき、この 28...Ba6 が決定打でした。f2 のポーンを守れません。負け。

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2ラウンド目。黒。N君。Scandinavian。途中はこんな感じ。

黒の方が全般的に良かったと思いますが、以下の局面で間違えました。

1k5r/Nbpr4/1b2qp2/1Q2p2p/3P2P1/2P1B3/RP4PP/5RK1 b - - 0 30
30...Bxa7 31.Rxa7 Kxa7 だと 32.d5+ でクイーンが落ちてしまいます。30...Qxa2 31.Qxd7 Qxa7 は良さそうでしたが、それよりもメイトを狙おうと考えて、30...Qxg4。31.g3 が来ても 31.b4 が来ても、31...Qe4 でももう一度強烈なスレットを作れるぜ!と期待していたら、31.Nc6+。なんとも当たり前な手を見落としていました。これで一気に立場が逆転(Fritzの評価は -4.39 から +13.57 に)。 31...Kc8 32.Rfa1 Rg8(33.Ra8+ Bxa8 34.Rxa8 でh8のルークが落ちないようにしながらメイトスレットも作る)。

33. b4 Rdg7 34.Ra8+。私の頭の中「え、嘘でしょ?無理でしょ?」

34...Bxa8 35. Rxa8+ Kd7 36. Qd5#
33手目以降は白が正しく指せばどうやってもメイトでした。負け。参りました。
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2ラウンド目くらい腰痛がひどくなり、かなり苦しんでいました。そのせいで負けたとは言いませんが、GMのレクチャーはパスしました。週末くらいから腰痛があまりにもひどいので整形外科に診てもらいましたが、ヒビが入ってしまっていて(おそらくかなり若い頃に)もう完治することはなさそうです。腰に負担をかけないようにコルセットをしていましたし、リュックが重くならないようにキャスター付きのかばんを併用しましたが、痛くなり始めたらもうどうしようもないです。