2016年10月22日

小島君のレクチャー:マン島のトーナメントより


今回はマン島の大会より3つのゲームが紹介されました。

最初は Vidit Santosh Gujrathi - Pavel Eljanov のゲーム より。ルークのエンドゲームの基本的事項を多くカバーしている良いゲームでした。ルークはパスポーンの後ろにいた方がいいとか、ドローにしたい方は Philidor Position を目指すべくポーンの交換を優先した方がいいとか、そして以下のようにパスポーンが幾つかある場合は相手キングから遠い方を進めて時間を稼ぐとか。


そして、Maxim Rodshtein - Jorden van Foreest は以下のポジションから解説が始まりました。

特に何もなさそうなポジションに見えるのですが、白が少しずつポジションを改善していくありさまが見事でした。

aファイルとcファイルに存在感を主張し(↑)、

gファイルも使えるようにした後、24.Rc7 で横の利きのプレッシャーも作り、

26. Rac1 でもう片方のルークもプレシャーを継続させながら参戦。

最後は上のようなメイトthreatを作って終了。派手なtacticsがあったわけでもなく、マテリアル的には互角ですが、ピースのポジションの良さを活かして勝ち切ってます。このゲームで見せてもらった何かを自分のゲームに応用したいです。

2016年10月10日

東京オープン3日目

5ラウンド目。黒。S君。Scandinavian。


中盤はこんな感じ(上の図)。クイーンサイドにキャスリングするのは怖いし、キングサイドのルークはhファイルから出るのが速そうなので、私のキングは動かず。18.Ne2 Bxf3 19.Nxf4 Qxf4 20.Rxf3 (下の図)とマイナーピースを二組交換した後、20...Qxd4 でポーン得。ここは読めてました。



8/3k1pp1/1p2p3/2p1n2P/4BPP1/6K1/8/8 b - f3 0 47
黒番(上の図)。Connected passed pawns があるので勝ったつもりでいましたが、ここはもっとよく考えるべきでした。47...Nc6? 48.g5

ここでようやく自分のミスに気付きます。47...Nc4 にすべきだったと超 後悔。このままだとhポーンのプロモーションを止められない ... 48...Nd4 49.h6 gxh6 50.gxh6 Nf5+
51.Bxf5 exf5 52.h7

これはもう無理ですね。ダメ元でステールメイト狙ってみましたがやっぱり駄目でした。負け。

なお、帰宅後 Fritz に解析をさせたら、47...Nc6 の時点ではまだ大丈夫で、次の 48...Nd4 の方がよっぽど悪かったようです。48...Ne7 49.h6 gxh6 50.gxh6 としていれば、50...f7-f5 でビショップの利きを遮ることができていました。持ち時間が少なかったのならばともかく30分くらいは残っていたので何の言い訳も出来ません。
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6ラウンド目。白。Tさん。Dutch。

この時点では負けそうで困っていました。特に黒がbポーンを突いてポーンを消した後、開いたファイルにヘビー・ピースを重ねられたら死にそうな気がしていました。それに比べると白にはそんな明快な攻撃プランはありません。22.Ne2 はd5のポーンを守らせる時間稼ぎのつもり。しかし、黒は 22...b4 で少し攻め急ぎました。23.Rxd5で少しプレッシャーが和らぎました。


その後、クイーンを取れたのですが意外に楽ではありません。ルークによるパペには気をつけていたつもりなのにミスました。36.Qd4? Bxe6

もしこのビショップを取ったら、ルーク・チェックによるパペを喰らいます。37.c4 でクイーンがb2の地点を守れるので安心。ルークが逃げたらビショップを取れます。

勝ち。
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結果、2勝4敗。

今回より大会結果が Chess-Results.com に載るようになりました。函館チェスクラブは以前から載せていましたが、JCAはこれが初。ちょっとした進歩です。

2016年10月9日

東京オープン2日目

3ラウンド目。白。0君。King's Indian 系。

レーティング差が400もあるので自分の方が良いポジションになっただけでも奇跡的。

この時点の Fritz の評価は 1.49。最善の流れは 19.Na7 Ra8 20.dxc5 だったようですが、20.dxc5 はちょっと思いつきません。本譜は 19.Be2 cxd4 20.Nxd4 Bf7

21.Bd3? e5

頭の中は「やっちまった」感で一杯。さすがにピースダウンだとジリ貧です。負け。
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4ラウンド目。黒。Y君。前回当たったのはもう8年も前です。Semi-Slav。


白に ...Bb6 とされたらクイーンが落ちます。本譜は 19...Neg4 で、...Qxf5 や ...Bxf5 を threat にしたつもりでした。検討戦では 19...Nxc4 を思いつきました。実践的にはその方が良かったようですが、どうして試合中にそういう手を見つけられないのでしょう。
20. c5 Be6 21. Bxg4 Nxg4 22. Nxg7

あらら。このポーン損から段々悪くなっていきます。


白の直前の手は 33.Bb2-e5。34.Bd6 をされたら困ると思って 33...Bc7 で防御したつもりだったのですが、白はお構いなしに 34.Bd6!。なるほど、これが強い人の手ですね。参りました。 負け。
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2016年10月8日

東京オープン1日目

1ラウンド目。白。初対局のHさん。Pirc。


本当は 7.Bh6 としたいところですが、7...Bxh6 8.Qxh6 b4 とbポーンを突かれるのが嫌だったので、先に 7.e5。7.Bd3 もしくは、やりたかった 7.Bh6 の方が良かったようです。

今回は90分と持ち時間がやや長めで嬉しく、たっぷり考えているつもりなのにひどい読み抜けがたくさんありました。例えば、以下の局面。

なぜか 17...Nbd5 しか読んでおらず、17...Nc4 を見てびっくり。しかし、指されてみれば当然の手。

そのような小さなミスを繰り返した上に黒マスのビショップが何の役にも立っていない。そして、最後の方は残り時間が1分を切ってしまいパニック。

残り時間が6秒となり、37.f3。イリーガルでした。TDを呼んでまで続行する価値はないので、そのままリザインしました。
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2ラウンド目。黒。夏にチェスを始めたばかりのお嬢さんでした。Queen's Pawn Game。

経験が浅いはずなのに、目的を定めてそれを実現するための手段を考えているところは感心しました。例えば、以下の 6.Nh4

白マスのビショップを Bd3 としたいのですが、私の f5 のビショップがそれを阻害しているので、邪魔者を消すための 6.Nh4 でした。


また、上の 9.e4 は、e4-e5 でピンされたナイトを狙っています。9...dxe4 10.Nxe4 Qa5+ で企みは不発に終わりましたが、目の付け所は良いと思います。

しかし、まだ相手の狙っていることまでは考慮できないようです。私の最後の手は g5 にいるビショップを狙っていました。そのことに気付き、11.Qd2 か 11.Bd2 としていれば何事もありませんでしたが、11.c3 と守ってしまったために白は 11...Nxe4 12. Bxe4 Qxg5 とビショップを失いました。

今はまだ弱いですが、強くなる素質を持っている女の子でした。
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明日のペアリングは ... このブログを書いている間に変更となったようです。