2016年5月7日

東京バイリンガルチェスクラブ


案内はすべて英語だったし、クラブ名に「バイリンガル」という単語が入っているし、外国人と帰国子女ばかりの集まりに違いないと考えていました。ところが、たしかにそういう人達ももちろんいましたが、普通の日本人もそこそこいたので他のチェスクラブの例会とそんなに変わりませんでした。とは言え、看板は立派だし(子供が隠れられるくらいの大きさです)国旗を並べるあたり、文化的な何かが違いますね。


4時間半の間に私は8ゲーム指せました。かなり時間効率は良い方でしょう。

そのうちの1ゲームは今週日本チャンピオンになったばかりTuさんとのブリッツです。2秒/1手のインクリメントで 3分 vs 30秒 という時間のハンデ付き。もちろん負けましたが、苦手なブリッツのわりにはピースがポロポロ落ちたりはしなかったので良しとします。

子供2人とも指しました。どちらも今回は勝てましたが彼らがそんなに弱いわけではない(実際一人は公式戦で当たってドローでしたし)ので素直に嬉しいです。特に子供の場合は同年代の大人と違って2~3年もしたら絶対勝てなくなりますからほんと今のうちです。
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7ゲーム目。黒。Nさん。Torre。

途中はこんな感じ。白を持ちたいですよね?
...c5 を突くのを何度も躊躇して結局突きませんでしたが突くべきでした。

結果的には勝ちましたが、恥ずかしい手が結構ありました。
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8ゲーム目。黒。Tさん。Semi-Slav。定跡は知らないと仰ってましたが自然な手ばかりです。

白は上の局面から 20.Nxe6 です。ナイトを 20...fxe6 で取ろうものなら 21.Bxe6+ の discovered attack でクイーンが落ちます。よくこんな手が思いつくもんだと感心させられます。20...Qxc4 21. Qxc4 Nxc4 22. Nxf8 Kxf8 で、マイナーピース2つとルーク+ポーンを交換したことになります。どちらが得したのかその時はまったく分かりませんでした。Fritz は若干黒が良い(-0.38)としていますが、それよりも黒は 20...Qc6 とメイトスレットを作りつつクイーンに紐を付けた後で ...fxe6 を入れれば駒得できたようです。


29.Bd6!。次に Re7+ が来がらピースが落ちるのが見えてますから 29...Bc6 で d7 のナイトを守りましたが、30.Bxa3 でもう片方のナイトが落ちます。内容的には私の負けですが、インクリメントが無かったので相手の時間が先に切れました。
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ちなみに、会場は大崎でした。チェスの会場として使われた場所としてはおそらく私の家から今まで一番近かった場所です。往きも帰りも歩きました。片道約25分です。

2016年5月5日

ゴールデンオープン3日目

7ラウンド目。白。S君。Pirc。


15.f3 と突いたところです。黒はb2のポーンを取っている余裕はないので、黒がナイトを下げたらクイーンサイドにキャスリングしてb2とd4を一度に補強するという筋書きでした。ところが、黒の手は 15...exd4。見落としです。16.fxg4 dxc3 17.Qxc3 Bxg4

ポーンを損した上にどちら側にもキャスリングも出来ません。

状況は悪くなる一方でしたが、ヘビーピースがまだ残っていたので奇跡的な一発逆転(あるいはパペ)の機会をずっとうかがっていました。特に Qxh5 が出来ないかと。しかし、そんな機会は訪れそうにないので以下の局面で諦めてリザイン。


レーティング詐欺は数多く見てきましたが、実力とレーティングの乖離幅が大きいという意味では今回の彼がダントツでしょう。彼は公式戦に2年以上参加していなかったので仕方ないのですが。
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8ラウンド目。黒。Y君。QGD Cambridge Springs Variation。


ここで白が考え始め、aポーンかbポーンを動かそうと2~3回したので Cambridge Springs に慣れていないことは明白でした(多いのは 7.Nd2、7.cxd5、7.Bxf6 あたり)。7.a3 Ne4 8.b4

ここで本譜は 8...Nxc3 9.bxa5 Nxd1 でしたが、検討戦の際に全日本に参加している強豪が局面を一目見て 8...Bxb4 が成立するかもしれないと言いました。驚いたことに 9.axb4 Qxb4 の後、黒は c3 のナイトを取れるので2ポーンアップ出来ます。Fritz先生もこのラインを最善として示しています。こんな手を瞬時に見つけられる人には一生勝てないだろうなと考えてしまう一方、こういう手をその場で教えてもらえるのがOTBの良いところだと実感します。


私には c6 のポーンを守るのが負担でしたが、白が 27.Nc5 を指したあたりから黒有利に傾きました。27...Bxc5 28.Rxc5 Rxe3 29.Rb1

e3のポーンが取られるきっかけとなった白の27手目が悪かったのだと思っていましたが、Fritz によるとそれ自体は問題ではなく(29.Rxa5としていれば)、自然に見える 29.Rb1 の方が悪かったようです。29...Re2+ 30.Kc1 Rxh2

...Re1# のメイトスレットになっています。31.Rc2 Re1+ 32.Kb2 Rxb1+ 33.Kxb1 Rxh3

このままピースアップの状態を維持し、最後の方ではルークの交換にも成功したので簡単なエンドゲームになりました。勝ち。
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結果は3勝4敗1分けの3.5/8ポイント。閉会式の抽選会でオープニングの本をいただきました。この本は 1.e4 e5 と 1.e4 e6 を扱っていますが、私は 1.e4 を指すことはありませんし、1.e4 に 1...e5 も 1...e6 も返しませんが、1.d4 e6 には 2.e4 という手順であえてフレンチにすることはあります。

2016年5月4日

ゴールデンオープン2日目

4ラウンド目。黒。E君。Scandinavian。


1ポーンダウンで不利だったはずですが、白が上の局面でスリーフォルドしてくれたのでドロー。白は Rf3 から f7 のポーンを狙えば勝ててた可能性が高いので救われました。
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5ラウンド目。白。Tさん。Colle。レーティングは私の方が200以上も上ですが、前回のゲームはドローでした。


13.Qe2は ...Ne4 防止策。ペアリングが発表された後、急いで前回のゲームを復習し、前回は黒に ...Ne4 をされてから苦しくなっていたので今回はe4には来させないように心がけました。


17.Ne5-g4。黒はナイトの交換を避けると予想していました。なぜならば、交換を許すと本譜のようにキングの前のポーンが弱くなるからです。17...Be7 18.Nxf6+ Bxf6 19.Qh5

19...h6 (強制) 20.Bxg6 fxg6 21.Qxg6



34.Ba3。あまり焦らず丁寧に丁寧に上のような優位なポジションを築きました。勝ち。
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6ラウンド目。黒。Sさん。Scandinavian。

白のクイーンにe4に来られると危ない。白がそうしたいと思ったらきっと 13.Ne4 Nxe4 14.Qxe4 のような手順になるだろうからそれ予防しようと思って指したのが 12...Bg4-f5?。しかし、それだと 13.Qf3 で結局防ごうとしていた攻撃を許してしまうことになります。ビショップがまだg4にいた時は Qf3 は出来なかったので白クイーンはf3には行けないと思い込んでいました。13...e6 (13...Bxc2 はポーンを取れますが、自キングの前の相手ポーンがなくなるので怖いです) 14.Qxb7+(下の図)。即チェックメイトというわけではないですが、精神的ダメージはかなりビッグ。

それから勘違いをしたりブランダーをしたりで傷口が広がりました。以下の局面でリザイン。


2016年5月3日

ゴールデンオープン1日目

1ラウンド目。白。Lさん。Pirc。


最初のうちはfファイルのダブルポーンはあまり気にしていませんでした。ルークをfファイルから出せたらいいなとまで考えていました。しかし、黒にクイーンサイドにキャスリングされ、ナイトがf4に陣取る姿を思い浮かべると自分のビショップよりもナイトの方が価値が高いのが分かりました。


そして、こんな感じ(↑)でe4が崩壊。


最後は、ここからパペチュアルチェックを狙うつもりでしたが、黒クイーンに連続チェックをされてc4を占拠されてしました。もうパペは無理で、f列のパスポーンを止められませんでした。負け。
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2ラウンド目。黒。Fさん。Scandinavian。


ブログを書きながらゲームを振り返っているとこのゲームは「ああすれば良かった、こうすれば良かった」が結構ありました。しかし、上がクイーンを交換した直後の実際のポジション。e6のポーンが弱いので守るのが負担になるのが目に見えていて明らかに白の方がいいです。


しかし、ここらへんから風向きが良くなってきました。特にキングサイドが。


2ポーンアップの状況です。ドローになり易いことで有名な異色ビショップに自らすることに少し不安はありましたが、小島君が「異色ビショップだからと言って必ずドローになるわけじゃない」と言ってたのを覚えていたし、相手の方が時間を私よりも多く使っていたので自らルークを交換しました。


ここで白リザイン。
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3ラウンド目。白。H君。Colle系。

ナイトをe5に置きたいです。しかし、守りが足りません。「だったら、e5に利いている相手のナイトを処分すればいいじゃない!」ということで 13.Bd3-b5。自分では良い手だと思っていたのですが、ここで今日の自分のゲームの中で一番難易度の高いタクティクスが飛んできました。13...Nxd4!。これで1ポーンダウン。


この時点でFritz先生はドローと見なしています。私の感覚では黒が圧倒的に有利です。この後、bポーンを取られてしまいますが、それでも強い人達に言わせれば私のルークが後ろ(f8)に居ればドローだろうとのこと。実際にはルークを自ら交換し、ポーンを止められなくてしまいました。負け。