2015年2月14日

小島君のレクチャー:Anand


小島君が International Master の称号を獲得したことと関係あるのかないのか分かりませんが、本日のレクチャーは大盛況で席が足りないほどでした。

今回取り上げられたチャンピオンは Viswanathan Anand。生まれた年が私と同じ1969年というごく単純な理由で親近感を感じています。

私はGMのゲームは滅多に観戦しませんが、今回紹介された最後のゲーム(2013年の Levon Aronian - Viswanathan Anand)はたまたまライブで見ていました。Anandと同じ黒の視点で見ていたのですが、16...Nde5

当時、私には黒がやけくそになって無理攻めをしているようにしか見えませんでした。なのに、解説者は「Pieces are hanging, but White can't take them!(複数のピースがタダで取れるのに白は取れません!)」と興奮気味だったので黒が攻めを継続するような手を指しているのは間違いありません。しかし、私の棋力ではゲームが終わってもなぜ黒が良いのか分からずじまい。あれから2年経ってようやくこのゲームの解説を聞けました。小島君も触れてましたが、たしかに解説者はその年のベストゲームが既に出たかもしれないと言ってました(これはその年の1月のゲーム)。このゲームは解説がないと分かりませんし、分かるとチェスの次元が凡人とは違うことが分かります。当時、これは Anand が入念に準備していたラインではないかと解説者が推測してましたが、仮にそうであったとしてもこんなリスキーなラインをトップGM相手に指して勝ち切る技量があるからこそ今世紀のチャンピオンに相応しいプレーヤーなんだということが納得させられます。

このゲームをコピペしやすいテキストのまま載せておきます:
1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. Nc3 e6 5. e3 Nbd7 6. Bd3 dc4 7. Bc4 b5 8. Bd3 Bd6 9. O-O O-O 10. Qc2 Bb7 11. a3 Rc8 12. Ng5 c5 13. Nh7 Ng4 14. f4 cd4 15. ed4 Bc5 16. Be2 Nde5 17. Bg4 Bd4 18. Kh1 Ng4 19. Nf8 f5 20. Ng6 Qf6 21. h3 Qg6 22. Qe2 Qh5 23. Qd3 Be3

2015年2月8日

広島選手権


12月も1月もOTBのチェスは指していなかったので約3ヶ月ぶりになります。

1ラウンド目。黒。結果的に全勝優勝されたTさん。Scandinavian。外国籍の方でありURだったため強さが未知数でしたが、dポーンを2マス進めずに d2-d3 で止めたのを見て、少なくともオープニングに詳しいIMやGMではないことが分かり少し安心しました。その後、僅かに黒の方がマシな局面が続いていたと思いましたが、ブランダー一つですべてが崩壊します。

2k1r3/ppb1rpp1/2p3p1/8/2NP4/PR5P/2P2PP1/1R3K2 b - - 9 35
白が 35.Rdb3 とし、b7 のポーンに圧力をかけて来た時です。35...b5 等を指していれば何の問題はなかったのでしょうが、本譜は 35...Bd8? 36.Nd6+ とナイトフォークを喰らいます。マテリアル的にも残り時間的にも挽回不能のため、リザイン。
-----

2ラウンド目。白。F君。インターネットでは彼の存在を知っていましたがOTBで指すのは初めてです。Pirc。ピースを使って攻めているうちは相手のキングがいる側にオープンファイルがあるのは嬉しいことなのですが、クイーンを交換してしまうとルーク同士のこのポジションはよろしくありません。

ルークの使い方を間違えてhポーンを簡単にあげてしまった上に、何をしていいか分からないうちに時間切れ負け。
-----

3ラウンド目。BYE。2敗しているので仕方ないです。
-----

4ラウンド目。白。なぜかここで今大会のリスト一番のSさんと当たります。Pirc(Modern)。白の4手目までは2ラウンド目とまったく同じ手順(1.d4 g6 2.e4 Bg7 3.Nc3 d6 4.Be3)でびっくり。


r1b1qr2/2p1n2k/3p1np1/p2Pp1Qp/1p2P2P/3B1PN1/PPP5/1NK3RR w - - 4 20
ここでちょっとやりすぎかなと感じた攻撃。20.Nf5。しかし、この手自体はOKだったようです。20...Bxf5 21.exf5 Nexd5


ここで私は 22.fxg6+ と指したのですが、複数の方に取らないほうがよかったのではないかと言われました。マテリアル的にもイニシャティブ的にもここでポーンを取らないという手は私には指せません。ちなみに、Fritz先生の一押しは 22.Nd2 ですが、22.fxg6+ はその次に良い手としているので間違いではありませんが、上手い人なら他の手を指した可能性が高かったのでしょう。

持ち時間が5分を切ったあたりから急激にポジションが悪化し、残り約30秒の時に致命的なブランダー 33.Qxe5?? を出しました。

私が黒ならばきっとタダで取れるクイーンを取れるでしょう。しかし、相手はレベルが違います。33...Rxc1+!。この手を見て即リザイン。さすがに 34.Kxc1 Qb2+ 35.Kd1 Qb1# となるのは分かりますので。
-----

全国大会に出場する権利が取れないどころか全敗です。良いことと言えば、初対局の方々と指せたことでしょう。また、一応広島観光もできました。前回(2009年)はチェスだけして帰りましたから。