2017年5月13日

小島君のレクチャー:全国大会


今回は先週まで開催されていた全国大会より4ゲームが紹介されました。


最初に取り扱われたのは山田-小林戦ですが、オープニングが私が 1.e4 に対して使う Scandinavian であったため、このゲームをたまたま見ていました。しかも、私が見た局面はまさしく上の 20.f5 が指された後であり、小林君がずっと長考しており、その長さからちゃんと読まないと大変なことになる局面だということが分かりました。レクチャーの中では 20...Bxf5 が出来ないことの説明をさらっとした後 20...Bh7 になりましたが、実際に要した時間とレクチャーで再現するための時間のギャップの差が激しいことに気付きました。それは単に実戦は大変で、レクチャーは効率が良いってことなのですが。


とりあげられた他のゲームのうち、小島-青嶋戦はちょうどいいルークのエンドゲームの復習になりました。このような局面で a1 の黒ルークが横に動いて白キングに取られずにチェックをかけられるならば、a1=Q が出来るのは覚えていました。しかし、白キングが2段目にいた場合、a2の黒ポーンをわざと取らせて横からチェックできることはすっかり忘れていましたね。

2017年5月6日

全日本選手権6日目(最終日)

11ラウンド目。黒。M君。Scandinavian。


数えきれないくらい似たようなポジションを経験してきたはずですが、今日ほど深く読んだのは初めてかも。例えば、上の局面ですぐにキャスリングした後に d5 を突かれると、11...O-O 12.d5 Nxd5 13.Nxd5 Bxg5 14. Nxg5 と進む可能性があり、

そうすると白の g5 のナイトと d3 のビショップの位置がすごく良いです(ちなみに、ここまで駒を動かさずに頭の中で考えるのは私にとっては至難の業です)。この駒の配置は自分に不利なので、キャスリングする前に 11...h6 12.Bh4 を挟んでおきました。そうしておくことで、同じような駒の交換をした場合、ナイトは g5 ではなくて h4 にいることになります。また、考えすぎかもしれませんが、...h6 を突いておくと、後々 Bxh7+ が出来なくなるかもしれません(ポーン取りのないただの Bh7+ になる)。

全国大会はブリッツのような読みの浅さでは勝てないし、基本的に当たる人は全員自分より強いのでいい加減な読みだとどのみち負けます。なので、自分に出来る最大限の読みを試みました。その代わり、上の局面でもう30分以上使ってしまいましたが。


白クイーンに e4-a8 の斜線を使わせたくないという意味では、17...Bxe4 よりも、17...Bd5 の方が良いと感じていました(Fritz も同意してくれました)。しかし、まだ17手目なのに持ち時間はもう残り数分。読まねばいけない手が少ない方の 17...Bxe4 を選んでしまいまいした。次の白の手は 18.Qxe4 ほぼ一択でしょうから。


24手目から残り時間が1分くらいになり、上の局面で時間切れ負け。仮に時間がまだあったとしても、もう負けは濃厚です。
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今大会は自分のベストを尽くせたと言えるゲームが幾つかありました。言い換えると、自分に可能なかぎり正確に頭の中で読むように心掛けた、ということです。過去の大会でも時間はかなり使うことはありましたが、今回ほど深くは読んでいません。

成績は1勝9敗1BYEとひどいですが、ほとんどのゲームで自分の最善を尽くせているのであまり精神的ダメージはありません。

2017年5月4日

全日本選手権5日目

9ラウンド目。白。A君。Dutch。


展開終了。ダブル・フィアンケットは初めてだった可能性あり。


既にポーンアップしていましたが、罠のような a7 のポーンを差し出されます。ゆっくり考えるほど時間が残っていなかったため、とりあえず取った結果(27. Qxa7 Qf6+ 28. c3 Nb5 )激痛。



Exchange down だし、時間も切れそうなのをなんとか耐えましたが、最後は 49...Rxf5 50.gxf5 g4 で出来たパスポーンを止められず、この2手後にリザイン。
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10ラウンド目。白。Oさん。


ほとんど知らない Sicilian Dragon にしてしまいました。しかし、相手の方が詳しいはずなのに間違えてくれたようです。5...d6 としていればどうってことなかったのに、5...Bg7 と指したものだから、6.e5 Ng8 でナイトを追い払われたことを後悔していました。


不慣れな局面だったにも関わらず、ここまでは白の方が随分良いと感じていました。しかし、その代償として12手目で40分も消費。


この局面では、18.exf7+ でチェックし、19.Qd5 でルークを攻撃しつつピンする手が悪いはずがないと考え、疑いもしなかったのですが、Fritz先生によると正解は 18.exd7 で、そう指さなかったために形勢が逆転したようです。実際、18.exf7+ Nxf7 19.Qd5 Ra5 20.Qxb3 Rxe5+(以下の図)はかなり痛かったです。



防戦一方。ここでキングが逃げると、31.Ke2 Nd4+ の後 32...Nxc2 や 32...Nb3 で a1 のルークがタダ落ちするので、しかたなく 31.Rxf3 で exchange down の道を選びました。


精一杯の抵抗としてプロモーションをして相手のルークを捨てさせましたが、いかんせんキングの位置が最悪でビショップだけでは相手のパスポーンを止められませんでした。負け。
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2017年5月3日

全日本選手権4日目

7ラウンド目。白。E君。Dutch。


序盤(上の図)はこちらの方が楽しそうだと思ったのですが、あっという間に景色が変わり、

ここで、今大会で一番ひどい 17.Ng5? というブランダー。相手は離席中でしたが、引っ込めるわけにもいかず ...。

ピースダウンですが、攻撃(抵抗)は続けました。しかし、ここで予期せぬ、34...Rb1+! が飛んできて 35.Qxb1 Qxb1+ 36.Kxb1 exf2 で、R 対 R+B の不利なエンドゲームに突入。可能なかぎりポーンを減らしましたが、以下の局面で ...Bc6 とされたら終わりなのでギブアップ。

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8ラウンド目。黒。Iさん。Scandinavian。


毎日ブリッツを指して、その復習をしているのが少し役に立ちました。なぜか黒番の約75%が 1.e4 なので Scandinavian だけ突出して場数を多く踏んでいます。そして、こういう局面でよく解析プログラムが勧めてくるのが 9...c5 です。正直、なぜ良いのか理解していませんが、指しました。結果、オーライ。


目安としては20手指した時点で45分残っているくらいが理想的なのですが、白からの攻撃のプレッシャーがすごいし、読みをサボって負けると後悔するので、20分くらい余計に消費させられました。しかし、この直後に白がブランダーをして私がピースアップ。おかげで今大会でやっと1勝することができ、なんとか全敗は免れました。ありがたや、ありがたや。
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明日はA君。おそらく4回目の対局。

2017年5月2日

全日本選手権3日目

5ラウンド目。黒。O君。Queen's Gambit Declined。

前回のゲームのラインを調べておいたおかげで11手目まではスムースに指せました。こんなことならば、もっと先まで調べておけばよかったと思ったほど。


マイノリティー・アタックに慣れていないので脳みそフル回転。ポーンの形を常に意識していました。相手も上の局面で20分考えてから 23.Nxc6。昨日と違い、自分に出来る最大限の読みをしたので負けても悔いはありません。充実感すらありました。

最後の方は時間切迫でどうにもならず、以下のようにきちんと(?)チェックメイトで仕留めてもらいました。

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6ラウンド目。黒。N君。Scandinavian。

自覚症状はないものの、前ゲームからの疲れが残っているのか4手目でいきなり間違えました。幸い、展開が少し遅れる程度の傷で済みましたが。


ここでチャンスが訪れます。21...Nxd5 22.Nc3 Nxb4 でいきなり2ポーンアップ。


しかし、脳が機能していないのかろくに考えずに反射的に指してしまいピンチに。29...Rd6 でも 29...Rd8 でも 30.Bc4 とされると d5 のナイトが落ちるのを防げないと諦め、時間をかなり消費して思い付いた手が、29...Re7 30.Rxd5 f6
これで相手のナイトかビショップかどちらかを取れると一安心したのですが、 31.Bc4! というシビれるような手を喰らい、絶望。

負けました。
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明日は急成長中のE君。小島君のレクチャーで彼の発言を聞いているので彼がどんなに強いかは分かっているつもりです。怖いよぉ。

2017年5月1日

全日本選手権2日目

3ラウンド目はBYE。

4ラウンド目。白。初対局のDさん。QGD。

黒のこの 23...Nf7 の先を読むべきでした。24...Ng5 でクイーンに当たり、テンポよく次の 23...Ne4+ がフォークになることは自分でも読めるレベルでした。時間はそこそこ使っていますが、読んでいる深さがブリッツ並みの気がします。


ナイトの次の行き先としては d4 が一番良さそうに見えます。黒の指す手は 28...Re4 であろうと予想し、クイーンを交換をするべきかどうかは相手が実際にその手を指すかどうかを見てから考えるつもりでした。28.Nd4? Rxe3+!
即、リザインしました。

上の2つはどちらも見落としにはかわりありませんが、自分の力量でも読めるレベルであった 24...Ng523...Ne4+ を見落としたのは許せず、28...Rxe3+ は見落としても許せます。後者は、ナイトが動いたゆえにRxe3がチェックになりましたが、そうなることを駒を動かす前に把握するのは自分にはかなり厳しいです。

ちなみに、このゲームはFritzに解析させるとかなりのシーソーゲームで、白が最も有利だった瞬間のポジションは以下でした。ここで 21.Rxc6! Rxc6 22.Qxd5+ のチャンスがあった、と。なるほど。

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明日の相手はO君。過去に6回当たっています。まったく勝てる気はしません。強いはずなのに、なんで5ラウンド目で僕と当たるのか不思議ですが、それだけこの大会のレベルが高いのでしょう。

Blitz 5|5 の4月の結果

年内にレーティング1500到達を目指すための Blitz 5|5 は今のところ1日も欠かさず毎日指してます。で、2月からブランダーの解析を始め、3月からは双方のいわゆる hanging に気をつけてレーティングが劇的に上がりましたが、4月は、

ほぼ横ばいです。実際、hanging の見落としはざっくり 2月 37件、3月 18件、4月 16件でした。タダで取れる双方の駒に気を付けている程度ではこれが限界なのかもしれません。以下の局面がその例です。

もし黒のd5ポーンを取れることに気付いていなかったら「hanging pawn 見落とし」のミスをやらかしたことになりますが、私が指したのは 15.Bxd5 です。タダで取れるポーンはきちんと取っているのですが、15...Rf6 を指されて困りました(そして、この手でほぼ勝負が決まったといっても過言ではありません)。つまり、取れることに満足してその先を読んでいないわけですね。OTBもそうですが、相手の指しうる手も読まないといけません。OTBですら必ずしもそれは出来ていないのですが、ブリッツでもやはりある程度は相手の指しうる手を考慮しないとレーティングを今より上げるのは難しいのかもしれません。もし、15.Bxd5 Rf6 を読めていたら 15.Qxd5 と指せていたでしょうし、負けていなかった(このゲームではレーティングが下がらなかった)かもしれません。そして、1500に到達したいと思ったら、そういう小さなレーティングの変動を積み重ねていくしかありませんから。