2021年11月23日

Japan Open 4日目: スタッフの皆さま、ありがとうございました。



7ラウンド目。黒。Kさん。English。


また、minority attack が来ました。

私はキャスリングをしましたが、コンピュータは ...a5 が最善だったと言ってます。そして、この後も何度も何度も ...a5 が最善だったと言われたのでその回数を数えてみたらなんと11回もありました。それだけ、このポーンストラクチャーに対する対処法が分かってないってことですね。


白の直前の手は 24.Rac1。h6のナイトがウザいのでちょうど ...Bg5 で追い払いたいと考えていた時にその白の手は私にとってラッキーでした。で、24...f5!。

コンピュータにもお褒めいただきました。白がほぼ何をしても、次は 25...Bg5 で、Exchange up は確実。でも、そのわりには評価値(-0.3)が低いですね。


ここは 29...Qxd4 か 29...Qxf5 か悩みどころ。勝ちにいくならポーンを取れる 29...Qxd4 でしょう。しかし、相手にクイーンが残るということは逆転の機会を白に与えることになります。相手は unrated ですが、今大会の成績を見るからに(私が勝てない相手2人に勝っている)棋力は相手の方が高いと判断していました。なので、クイーン交換をしてドロー以上を確定させました。チキンです、はい。

最後は白の時間が切れて私の勝ち。
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2勝2敗3ドローで、最終的には3.5ポイント。私のスタート順位は70人中45番目で下半分に入っているのでポイントを半分取れて満足です。

しかし、繰り返しになりますが、1手に数分使えるのは幸せです。また、どのゲームも3時間とか4時間とかぶっ続けでしたが意外と集中力は切れませんでした。ブリッツでありがちな駒がタダでポロっと落ちるみたいなのは皆無でした。
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この大会は素晴らしかったです。閉会式で主催者が自らを褒めていましたが、全然OKだと思います。

この大会にはスタッフが大勢いました。10人以上。国内の大会では過去最高の人数だったかもしれません。部屋が複数ある場合、下位ボードの部屋はおざなりになりがちですが、この大会では下位ボードの部屋でも常にスタッフがいました。また、通訳のスタッフがいましたが、それも初めてかもしれません。運営の質はスタッフの人数にある程度比例するでしょう。毎回これだけの人数を確保するのは難しいかもしれませんが、今後もこうだとありがたいです。

スタッフの皆さま、ありがとうございました。

ちなみに、初めて見る外国系のプレーヤーが何人かいましたが(私の対局の相手の2人を含む)皆さん日本語が流暢で驚きました。通訳いなくても大丈夫だったかもしれません。

2021年11月22日

Japan Open 3日目



5ラウンド目。黒。Kさん。Scandinavian。


前回当たったのは2018年。どうせ同じにはならないだろうと思いつつも当時のゲームを並べておきました。ところが、意外にもここまでは前回とまったく同じ。前回はここで間違えましたが、昨晩 復習しておいたおかげで同じミスは避けられました。プレパして役に立つのは珍しい気がします。


キャスリングが難しいことに気付きます。例えば、7...Nf6 8.O-O Bd6 なら、9.Re1+ が痛いです。なので、7...Bd6 を先にして、8.O-O なら 8...Ne7 で我慢するつもりでした。ところが、白が指したのは 8.Nc3。これで普通にキャスリングできそう。8...Nf6。

おっと危ない。ここもうっかりキャスリングしようものなら 11.Nxc6 を喰らいます。こういうことに気付けるのも時間がたっぷりあるから。とうわけで、10...Be5 を挟んでおきました。


派手な手が来ますねぇ。これもOTBならでは。飛んできたビショップはすぐには取れませんが、15...Bg4 16.f3 Bxf3 17.gxf3 Rxf7 と、バックランクを守りながらマテリアルを取り返せます。


ここは 21.Rd8+ Rxd8 22.Nxd8 で 23.Re8# が threat になる流れを読んでいたのですが、白が実際に指したのは 21.Nd8。たしかに mate threat はありますが、21...h6 で白はマテリアルを損することが避けられません。勝ち。
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6ラウンド目。白。Fさん。Queen's Indian Defense。


このあたりは白なのに苦しいと感じてました。ピースを動かす余地があまりない、的な。でも、コンピュータの評価値は意外にも 0.0 なんですね。ほんと、自分の局面評価はあてにならない ...


ナイトを良いマスに置けて安心したところで、黒のキングサイドアタックの始まります。


33...Qxe3 をされないように e3 を守ったのですが、ここで 33...d4 を突かれたら死ぬと思ってました。白からは 34.exd4 出来ないですから。でも、別に黒から 34...dxe3 が出来るわけではなさそうなので、実際はどうってことなさそう。


前の局面から20手を経てようやく黒がクイーンサイドのポーンを突いてきました。しかし、54.Qc4+ を見落としたと想像します。30手くらい延々と防戦一方でしたが、このチェックのおかげでようやく息を吹き返しました。


ポーンを得してますが、2段目を守っていなけれならない(特に ...Re2 を警戒)のでドローオファーしたら受諾していただけました。しかし、gポーンはパスポーンなので自分の方が若干有利(少なくとも黒からルークを交換できない)と思っていたのですが、評価値は -4.7。どうしてそうなるのか分かりませんがラッキーだったようです。

2021年11月21日

Japan Open 2日目: もしかして minority attack ってやつですか?!

3ラウンド目。黒。Hさん。Catalan。


序盤からポーンを損します。7...Qc8 でb7は守れますがd5のポーンは落ちます。ブリッツですらなかなかセンターポーンを落とすことにないのに、こうも簡単に取られるとは。


白にe4のポーンを突かれないようにしています。こういうことをしなければならないのは Catalan のようにオープニングの種類が限定されますが、ブリッツだとこういう機会はなかなかないです。毎日ブリッツやってるのに Catalan は今年はまだ一度しかありません。そういう意味でもOTBはいつもと違ったことが出来ていいですね。

白がクイーンサイドのポーンを突いてきてるのはもしかして minority attack ってやつですか?!ブリッツだとこういうのに遭遇することはほとんどないので模範的な対処法とかは知りませんが、こうやって実戦で考えるのが一番勉強になると思ってます。白から突いてくるとしたらbポーンだと思うので、それを躊躇させるための 20...Rc8。

ちょっとだけタクティクスっぽいことを。私のナイトは逃げ場所がないので 32.h3 と突いてきた場合 32...Bxd3 33.Qxd3 Nxe5 が出来るようにました。相手はそれに気付いたのか 32.Nf4。面白くなかったです。

最後は劣勢の局面のまま時間切れ負け。

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4ラウンド目。白。O君。Colleもどき。


この 17.b4 を突いた時は自分の方が優勢だろうと感じてましたが、実際は違ったようです。しかし、たとえ勘違いであっても「自分の方が優勢」と感じながら指せる方が精神的には良いはず。

ここで黒からドローオファー。黒は自身が有利だと思っていないのは明らかです。しかし、私も、このままhポーンを突き進められるのは嫌なんです。Be2-f1-g2 として斜めの利きは遮断するつもりですが耐え切る自信がありません。で、ドローに合意。

2021年11月20日

Japan Open 1日目


日本でもトップボードの盤面をリアルタイムで配信することはありますが、今回は盤面だけでなくカメラまであるので映像付きです。しかも、カメラ3台。主催者の気合を感じます。

私が最後にOTBの試合をしたのは2019年12月15日なので約2年ぶりです。しかし、参加者の大半は昔と変わっておらず「あの人誰だっけ?」というのもなく、ブランクが2年もあったとはとても思えません。

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1ラウンド目。黒。Sさん。QGD。

レーティング差が400以上あるのでドローでさえアップセット扱いになります。要は、勝てる見込みはまったくありません。しかし、タイムコントロールは90分+30秒/1手。この長いタイムコントロールはOTBならでは。1手に5分使って考えられるのは幸せ!


試合中、指して後悔したのはこの1手(25...Qf6)のみ。あまり考えてなかったからです。クイーンを交換したかったのですが、交換してくれなさそうなのは自分でも分かったはずです。ならば、ハッタリでもいいから 25...Qg5 でc5のポーンにプレッシャーをかけた方がマシだったな、と。この後 白に 26.Qb7 とされ、すごく嫌な感じになりました。


やはり 7th rank に入られたのが痛いです。33...f5 なら 34.Be5 でしょう。ここで負けたと感じました。この5手後にリザイン。
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2ラウンド目。白。Dさん。Barry Attack。

長く指してないオープニングだったので細かいことはまった覚えていません。しかし、相手のキングサイドをこじ開けてメジャーピースで攻撃する楽しさは味わえました。

この20.Qh2 が決断の1手。この後、20...Qxc3+ 21.Ke2 Rxc2+ 22.Bxc2 Qxc2+ と続くのは予期していましたが、黒からチェックが止まったら Qxh7# で終わるというのが私の筋書でした。しかし、23.Kf3 Qxf5+。あれ?止まると思ってたチェックが止まらない ...で、合意のドローとなりました。

20.Qh2 の代わりに 20.Qg2+ Kh8 21.Kd2 が白にとって理想的だったようですが、残念ながらそれは思い付きませんでした。

2020年2月24日

メルボルンにて

1週間ちょっと仕事でメルボルンに行ってました。書いてることは Twitter のツイート+α程度です。

フライト
何年か前、機内設備でチェスが出来ましたが大して強くありませんでした。現状はどんなものなのか調べてみると、なんと、ナイトのアイコンを使っているくせに選択肢にチェスが無い ...


職場
現地の私の同僚はレーティング1900~2000。オフィスに盤駒を常備していますが、オフィス内に相手になる人がいません。時間があれば彼と対局するつもりでしたが今回はとてもそんな余裕はありませんでした。



Melbourne Chess Club
ここを訪れるのは実は2回目。前回が相当昔だったようで(2008年以前)現在のブログにその記事がありません。Melbourne Chess Clubはメルボルン市内から歩くと時間がかかることは覚えていたし、仕事が終わった後に寄るしかないので、行くならトラム(路面電車)と決めていました。そう決めてはいたものの下調べをしている暇もなかったので切符(ICカード)を買うことから乗るべきトラムを探すことまですべて行き当たりばったり。


着いた時は平日の20時過ぎで、ブリッツの大会中。主催者もプレーしていたため、ラウンドの合間に本の置いてある部屋の鍵を開けてもらうのがやっとでした。


「古い本しかないよ」と言われましたが、本当でした。前回来た時よりも古いんじゃないかと思うくらい。しかし、ここまで来て手ぶらでは帰りたくないので古くてもあまり関係ない本を買いました: First Theories of Hexagonal Chess。AUD 2.00。日本円で150円くらい。この本を読むことは多分ないと思いますが記念品なので問題ありません。


ブリッツが終わると参加者はささっと帰りました。平日の夜にカジュアルにブリッツの大会が出来る環境は羨ましいですね。

図書館
昨年末にメルボルンの大学を訪れたチェスプレーヤーが大学の図書館にチェスの本がたくさんあるとツイートしていたのを覚えていたので、メルボルン市立図書館に行ってみました。が、置いてあったのはたったの3冊で、Minecraft より少ない ...

2019年12月15日

Christmas Chess Party!

45分+10秒/1手。自分の持ち時間が5分を切ったら棋譜をとる義務はなくなりますが、そうなったらほぼ blitz なので自分としては避けたい状況です。しかし、棋譜をとるのが嫌だからあえて5分を切らせるという考え方もあるようです。

1ラウンド目。黒。S君。Accelerated Queen's Indian。


ここでは自分でも全然見つけられるレベルの 12...Bxf3 13.Qxf3 Qc7 を見落としていました。


ついさっきまで自分のビショップ2つが相手キングを向いていて良い気分だったのにどうしてこうなってしまったのか。単純に 16...Ne8 と逃げたりすると、17.Bxh7+ Kxh7 18.Ng5+ の Greek gift で殺されると思ったので先に 16...Bxf3 を入れました。しかし、自分の悲観とは異なりコンピュータのこの局面の評価はなんと -1.76。黒の方が良いと。しかし、それはベストムーブである 16...Nxe5 を指した場合の話。16...Nxe5 がベストって言われてもどうしてそれが良い手なのかさっぱり分かりません。


白の手はこれ(20.Bg5)しか読んでいませんでした。ここでクイーンが逃げたら、21.Bf6 にしろ 21.Nf6 にしろ負けると思っていたので 20...f6。しかし、20...Qb6 がベストだったようです。


もう絶対ダメだと感じた手。Re7 で the end です。負け。
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2ラウンド目。白。チェスを始めたばかり大学1年生。1.d4 対策はまだなかったと言ってましたが、予想と異なる手を指されるのでかえってやりにくかったです。しかも、負けるわけにはいかないという妙なプレッシャー付き。


12.e4 を突く準備の 11.Nd2 でしたが、コンピュータには不評な手で局面評価がマイナスに転じました。今すぐ 11.e4 がベストだったようですが、それだと 11...dxe4 12.Bxe4 Nxe4 でビショップがいなくなるので嫌ですね。


展開を無かったことにするこの手で局面評価は -1.60。黒に isolated pawn があるにもかかわらず、ポーン1個以上損しているのは白の方という悲しい評価。


ここから反撃。Discovered attack です。この2手後にピンのことを忘れてしまった黒がうっかり 21...dxe4 を指してしまいましたが、ナイト+ルークとクイーンの交換(22.Rxd8 Rxd8)はそんなに悪いトレードではなかったようです。しかし、それはあくまでもコンピュータ視点の話であり、人間達は「しまった!」もしくは「ラッキー!」って考えてます。


こうなったら僕でもメイトできます。勝ち。
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3ラウンド目。黒。M君。Scandinavian。

相手は僕よりレーティングは200以上高いし、白番だし、本来ならアグレッシブにがしがし攻めてきそうなものです。しかし、5手目までに10分も使っているし、指す手が消極的でした。以下の 13.Bf4-h2 なんかはその典型。



...Ne7-g6-e7 を繰り返して(白は Qf5-e5-f5)threefold のドロー。

体調が良くなかったそうです。そうでなかったら格下相手にこんな簡単にドローになんかしませんよね。
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4ラウンド目。白。池上のチェスセンターがあった頃、小島君のレクチャーで何度も会ったFさん。対局は初めてです。Slav。


29...Rxc1 は予期していた手で、取られたルークを取り返せるようにわざわざ a3 にビショップを置いていたくらいなのでほぼノータイムで 30.Bxc1 を指しましたが 30.b7 を見落としていました。


ここでドローオファー。逆色ビショップだし、ドローだと思っていましたが、あっさり蹴られました。


このあたりは棋譜の正確性に自信がありませんが(特に白キングの位置)だいたいこんな感じでした。2手後にリザイン。
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私は1勝2敗1分で1.5ポイント。まあまあの成績です。

優勝した小笠さんは優勝は30年ぶりだそうです。長くやってれば優勝のチャンスはあると仰ってましたが、それは「若い頃(≒学生の頃)からチェスを指している人ならば」という条件が付くと思います。30年前に既に優勝できるだけの実力があったわけだからその底力が残っているのでしょう。羨しい。
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駒が自動で動くチェスセットのデモがありました。駒は小さめですが、それは駒が他の駒の間をすり抜けて動けるように(キャスリングの時とか)そうなっているのでしょう。また、駒は1つずつ動くようです。リセットの時は駒が一斉に動くのかと思っていましたが、そんなことはありませんでした。記事は こちら