2017年8月26日

小島君のレクチャー: Mating Attack



世界チャンピオンが強いのは当たり前ですが、Alekhine のこのフィニッシュは人間業とは思えません。棋譜は ここ にありますが、何よりすごいのは目隠しの多面指しだったということです。


Alekhine が白で、上の局面から 22.Bxf6 Qxf6

23.Re8+ Nf8

24.Nh6+ Qxh6

25.Rxf8+ Kxf8

26.Qd8#
当たり前かもしれませんが、自分が生きているうちにどう頑張ってもこれは出来そうにありません。目隠しされてなくて、多面指しでなくて、時間がどんなにたっぷりあっても無理ですね。世界チャンピオンがどれだけ凄いか(強いか)が良く理解できるゲームでした。

2017年8月15日

Blitz 5|5 のその後(オープニング)

Blitz 5|5 ではレーティングの目標(1500)を達成してから、OTBの公式戦では指さないオープニングを試していました。白番なら 1.e4。黒番では 1.e4 に対して Sicilian、1.d4 なら Nimzo-Indian を指すつもりでした。

以下は50ゲームにおける相手の初手の内訳です。
自分相手回数

1.e4
1...e59
1...c58
1...d52
1...d62
1...c61
1...e61
1...g61
1.e420
1.d43
1.b31
1.c41
1.f41


JCAの大会やtwitterにおけるツイートを見ていると、1.e4 と 1.d4 の数はだいたい同じ、1.e4 に対しては French と Caro-Kann の比率がもう少し(少なくとも Scandinavian よりは)高いという印象があるのですが、Chess.com のブリッツにおいてはどうもそうではないようです。そして、Nimzo-Indianは相手が 2.c4 を指して来ない等の理由で一度も指せていません。今後も 1.d4 が少ないならば 1.d4 対策を模索するにはあまり良い環境ではないかも。

1.e4 は覚えることが多いのでチェスを始めてすぐにやめてしまったのですが、やっぱり覚えることが多くて大変だということを再認識しました。1...e5 と 1...c5 のゲームが楽しければ続けてもいいのですが、特に Sicilian は白でも黒でも何をすればいいのかよく分からないし、何よりも指していてちっとも楽しくありません。チェスは趣味(遊び)でやっているので楽しくないことをあまり頑張りたくないです。というわけで、1.e4 はやめます。1.e4 に対して Sicilian 指すのもやめます。

2017年8月14日

Japan League 4日目

7ラウンド目。黒。Kさん。前回と同じ QGD Cambridge Springs variation。


前回は取れるはずのないaポーンを取って負けましたが、今回は無事に 9...Qxa2 で1ポーンアップ。しかし、この直後でミスります。10.cxd5 に対してすぐその場で 10...exd5 と取り返していれば何の問題もなかったのに、後でも取り返せると思って先に Nxc3?11.bxc3(以下の図)とされた時にポーンがビショップに当たるのがその状態になるまで見えていませんでした。

この結果、マテリアル的にイコールに戻ってしまった上、c6に孤立ポーンを作らされてポジションを悪化させてしまいました。


17.Ne5 が飛んできたところで2つ目のブランダー。17...f6?。脳ミソが働いていなのか 18.Nxd7 の変化しか読んでいませんでした。18.Nc4 で自分のミスの深刻さに気付きます。次の 19.Nd6 を無傷で受ける方法が見つかりません。18...Ke7 19.Nd6 の後、19...Rb8 で守ろうとしても 20.Nxb7 Rxb7 21.Ba6 でルークは逃げるところがありません。なので、本譜は exchange down することはもう諦めて 19.Ba8 20.Nxc8+ Rxc8


できるかぎり局面をcloseにしたいところですが、39.hxg5 とされてしまいました。39...hxg5 だと相手のルークが Rb1-h1 経由で簡単に侵入できそうだし、39...fxg5 だと、...Nh4、Rc7-f7-f3 という希望(?)がありそうに見えたので後者を指したのですが、実は悪手でした。40.Rbxb6+! axb6 41.Rxb6+
せっかく40手を超えて30分をもらったばかりなのにリザインしました。
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結果、1勝3敗3引き分けで 2.5/7.0 ポイント。自分のレーティングの低さを考えたら上出来です。

特にポイントが取れた3R、4R、5Rは過去の自分よりも攻撃のための準備(ピースの配置)がうまく出来ていたと感じました。Vision 系スキルの弱さだけは克服する方法がないので複雑な駒の取り合いを間違えてしまう(例えば、今日の 11.bxc3 がビショップに当たるのが事前に見えない)のはもう諦めるとして、戦略、オープニングの知識、エンドゲームの知識だけ補強すれば、もう少し強くなれそうな気がします。

最近、タクティクスを除けば、重要なのはテンポだと実感していて、それを自分のゲームで活かすことが出来れば自分の棋力もう一段レベルアップできそうな予感がしています。何の根拠もないですし、時間もかかりそうですが。

2017年8月13日

Japan League 3日目

5ラウンド目。黒。Sさん。Queen's Gambit Declined。

Stonewallになりました。自分ではまったく覚えていないのですが、前回もそうだったようです。自分はきっとこの形が好きなんですね ...


めっちゃ強力なナイトの誕生。小島君のレクチャーで追い払えないナイトは強いと何度も聞きましたが、まさにソレ。


白はパスポーンを止めるためにビショップを捨てますが、キングがクイーンサイドで頑張るつもりなのが明らかでした。


ここで私は 51...Nxc5。自分では良い手だと思ったのにコンピュータにダメ出しされてちょっと悲しかったですが、キング自らd4のポーンを取りに行った場合に白とどっちが速いかを頭の中ではとても追えないので practical な手だったと思います。白がナイトを取ってくれれば、52.dxc5 d4 で私にも分かり易い展開になります。本譜は 52.Kb6 Nxa4+ 53.Kxc6 となりましたが、さすがにこれは私でも間違えません。勝ち。
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6ラウンド目。白。Fさん。Queen's Indian のような Colle のような。最初は対称形でした。



22.Bc1 で、e3-e4 突きの discovered attack をするつもりでしたが、先に黒から 22...cxd4 の discovered attack をされてビックリ。23.Ba3 で相手のルークが動いた瞬間に 24.exd4 でポーンを取り返そうとしたら、23...Nxe3 とやられて被害が拡大。が、ちょっとだけ良いコンビネーションを見つけました。24.Rg3(下の図)

黒は Rxg6+ を喰らいたくないでしょうから、24...Qh6。そのマスにクイーンが行ってくれたところで、25.Bxf8。ビショップがクイーンに当たっているので黒は 25...Rxf8。その隙に自分のf1のルークを逃がしました。

最後はとても苦しかったので、ルークでナイトを取って exchange を返し、クイーンによる perpetual check。ドロー。危うく負けるところでした。

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そんなことは過去になかったと思いますが、今日は2回も自分の時計をJCAの時計と間違えられて回収されていました。もうちょっとデザイン(色?)の良い対局時計に変えようかな ...

2017年8月12日

Japan League 2日目

3ラウンド目。黒。初対局のMさん。Slav。

ここで 28...Rxh2 29.Kxh2 Ng4+ 30.Kg1 Rh8 31.Kf1 は考えたのですが、相手キングは逃げ切れると勘違いして指しませんでした。前の大会で読み切ったつもりでビショップをサクって結局詰ませられなかったので臆病になっています。しかし、31...Rh1# だったようです(Fritzはそもそも 29.Kxh2 ではなく 29.R3a2 だと教えてくれますが、白はかなり壊滅的なダメージを喰らいます)。自分の vision 能力はあてに出来ないので仕方ありません。本譜は 28...Ng4


最後はルークが ...Rh7 と ...Re7 を往復するパペでドロー。

JCAレーティングだと400差があるので、ドローでもアップセット級です。ただ、相手から見るとドローで満足してはいけない局面だったようです。
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4ラウンド目。白。Kさん。Pirc。

ここは 24.Qxg6+ Qxg6 25.Bxg6 で良かったようです。私はクイーン交換して2ポーンアップで満足するよりも、メイトか(相手のナイトかビショップをクイーンに対して)ピンを利かせてピースアップを狙った方がいいんじゃないかと珍しく強欲な戦略をとり、一旦 24.Qg3。しかし、ここから黒に徐々に主導権が渡り、逆にピンチに。

本譜は上記局面から 34...Qa3+。死んだと思いました。が、結果的には奇跡的にポーン1つ取られることなく窮地を脱しました。これがもし 34...Rxa2+! だと35.Kxa2 Qxc2+ で黒が勝てました(小島IMのコメント)。


このゲームで感じたのは自分の持ち時間だけ速く減り、相手の持ち時間はなかなか減らないという錯覚です。40手を超えることはできましたが、疲れていたし、ドローっぽいし、上記局面で合意のドロー。このゲーム、解析すると想像以上にブランダーが多く、げんなりしました。
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昨日に続き今日もGMの無料セミナーがあったようですが、自分達のゲームが終わらなかったので参加できず。

2017年8月11日

Japan League 1日目

1ラウンド目。黒。Hさん。English。

20.Nxf7!。まったく読んでいませんでした。ここから始まる攻撃で白は +7.03 評価まで有利を築きましたが、間違えてくれました。おかげで以下のようなポジションになりました。

しかし、ここで 33...Re2? 34.g5。ブランダーだったと思うのですが、ブランダーの前とナイトを取られた後で、なぜか Fritz の評価はほとんど動かずほぼドロー状態。しかし、ここから5手ほどで時間切れ負け。日々ブリッツを指しているのが何の役にも立っていません。
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2ラウンド目。白。Oさん。Colle。

いつもなら、このような 7...e5 突きは来ないのですが、今回は Bb2 より先に Nbd2 を指していたのが原因でした。こういう些細な手順の違いで状況が変わるのがチェスの難しさですが、その小さな隙を見つけられる相手の洞察力に内心感嘆していました。


ここから 22...Nxg4!。どうしてそんな手を見つけられるのでしょうか?


上の局面で時間切れ負け。40手までまだまだでしたね。
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最後は上位ボードの観戦をしていましたが、見間違いかと思う手を見ました。白が自分のビショップを黒のポーンの取れる位置に置いたのです(他のピースの位置はすべてテキトーです、ごめんなさい)。しかし、驚いたことに黒はビショップを取らずにポーンを進めました。あとで黒のプレーヤーに聞いたら、あれは白のドロー狙いだったそうです。R+N vs R ならドローに出来るとのこと(そうは言っても正確に指す必要はあるでしょう)。勉強になりました。