2012年1月18日

『チェスの話/ツヴァイク短篇選』



「ふつうの読書人にとって、小説は面白くなければ意味がない。今はなき<われらの書痴児玉清>がもっとも愛した表題作「チェスの話」」というのがこの本の宣伝文句でした。児玉清と言われても私はピンときませんでした(後で誰だったのかWikiで調べました)が読書大好き人間のお気に入りなら外すことはなかろうということで読むことにしました。

表題作の「チェスの話」は最後の短篇でしたが他の短篇は飛ばしてそこから読みました。

本質的な部分ではないと分かってはいても、私には訳し方がどうしても気になってしまいます。例えば、チェス盤のことを「将棋盤」と訳したり、カリフォルニアのことを「キャリフォーニヤ」と表したり。相当昔に和訳した際の表現をそのまま利用しているだけなのでしょうが、やはり2011年に出版したからには“現代の日本語”として自然になるように表現を直して欲しいと思うのは贅沢なのでしょうか ...

登場人物は精神面でちょっと普通ではありません。なので、読んでいる最中に何度か Peter Gabriel というアーティストの曲を思い出しました。彼の曲の歌詞は精神異常者を題材にしたものが多いし(知ってる人はどれだけいるんだろう ...)、暗い曲調が暗めのストーリーにマッチしていたからです。

最初のうちはテンポが遅く感じます。映画も昔の作品の方が総じてストーリーの進行が遅いのときっと同じ。最近の映画は attention span(注意持続時間)の短い若者でも退屈しないようになっており、そういう文化に慣れてしまっているせいかじれったく感じました。でも、それは途中まで。ストーリーはありきたりではなくて先がまったく読めません。最後は結末が気になって一気に読めました。

面白かったかと聞かれれば「まぁまぁ」と答えます。

本の冒頭に戻って最初の短篇を読み始めましたが最初の2~3ページでやめました。やはり文章がとっつきにくいし、チェスを題材としているわけではないので、これ以上読まずに図書館に返却するつもり。

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