2018年3月11日

百傑戦2日目(& アービターに関して)

FIDEアービターのレクチャー後の最初の大会というだけあって、やはりアービターの行動が今まで以上に気になりました。アービターに関するところは青で書きます。
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4ラウンド目。白。F君。Pirc。

過去の大会で彼がポーン3つを使ってルークを持っている相手に勝ったのを見たし(=エンドゲームに強いのは明らか)今大会もクイーンを先にぶった斬るようなタクティクスを繰り出しているのを見ているのでビビッてました。Pircだと私は殴り合いになることが多いのですが、今回は自分が読み切れないような複雑な局面は避け、相手のタクティクスの種を摘み取るようにプレーにしました。たとえドローでもレーティング差が400以上あるので“アップセット”と見なされますから ... (弱気)


ドローっぽい局面を長く維持していましたが、残り時間が3分くらいになると焦って思考力が落ちます。gポーンをタダで取られるのが嫌で、30.Nh5 Bxh5 31.gxh5 で逃がしたつもりでしたが、孤立してしまったため標的となり、結果的に落とされてしまいました。上のポジションをよく見れば、仮に 30...Ne2 に逃げたとしても黒のeポーンが弱まるので黒はきっと 30...fxg4 はしなかったでしょうね。


47.Nxg3 Nf4+ 48.Kh2 e2 49.Nxe2 Nxe2 だと負けると読んだので、 47.c3 で待ってみたのですが無意味でした。 47...Nf4+ 48.Nxf4 Kxf4。リザイン。

FIDEアービターのレクチャーの中でFIDE公認のチェスクロックのモデルの一覧がありましたが、自分(やJCA)が持っている古いDGT2000では何がダメなのかはっきり分かっていませんでした。このゲームは相手の時計を使ったのですが、それは公認モデルの1つであるDGT3000で、その違いは明らかでした。開始時点から秒単位の動きが見えます。これならば、最初から動いていることも30秒が足されていることも容易に確認できます。古いモデルだと20分を経過するまで秒は表示されません。
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5ラウンド目。黒。Kさん。Scandinavian。


このポジションから私は 11...Bxf3 としました。コンピュータは意外なことに 11...c6 の方が良かったと言ってます。次のゲームでも似たようなポジションになったのですが、そっちは実際に指した ...c6 の方が悪いという評価でした。オープニングの勉強に時間を割きたくないからこのオープニングを使っているんですが、この形になり易い上にベストな対応が異なるのであれば、ちゃんと理解しないといけないんでしょうね ...(と書きつつ、きっと何もしない気がします)。


白に 35.Rb7 を指された瞬間、36.Re7+ の後に、discovered attack で白ルークは好きな所に行けるので負けを覚悟しました。ナイトはe7を抑えているように見えますが、c3-c4で簡単に追い払えます。しかし、冷静に見るとdiscovered attack で取れるとはせいぜい e6 のポーンだけで、そこから先メイトにつながるようなコンビネーションはなさそうです。なので、35...Nxc3 でポーンを取って d1 のルークにもちょっかいをかけておきます。36.Re7+ Kf8 37.Re1 Kg8。結果だけ見ると自分の方がポーン得です。白は 37.Rd3 Nd5 なら 38.Rxe6+ が出来ました。


途中でexchange upしましたが、自分のルークは守りに縛られているので駒得を実感できる程の差はありません。そして、残り時間が1分を切ったこともあり、まともな手を指せていません。後悔した手の1つはここ。42...Kf7?。相手に 43.f4 を指されてはじめて 42...e5 を先に指してキングが ...Kf7-e6-d5 を通れるようにすることが大事だったことに気付きます。


そして、この 46...g6?。コンピュータもはっきり“BLUNDER”と表現しています。相手のビショップが黒マスなので取られないようにしたつもりですが、どちらかと言うと自分のキングの行動範囲を決定的に狭めることになりました。数手後に自分からドローオファー。受けてもらえました。
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6ラウンド目。黒。Y君。Scandinavian。


これが前のゲームと同様に白マスのビショップがぶつかっているポジションです。この後、11...c6 12.Ne5 Nd7 と続いたのでより似たポジションになります。


ここはミスりました。22...Bxe5 23.Rxe5 の後、例えば Re5-c5 とされるのを嫌ってあえて自分からビショップを交換しないように 22...Rh6 としたのですが、23.Bxf6 Rxf6 24.d5 はルークに対する discovered attack になることを見落としていました。ここから、白の好き放題タイムが始まり、耐えるしかありません。


上の局面で白は 31.cxd8 でポーンをd8のマスに置いて「クイーン」と言って時計を押しました。見ていたアービターがさっそく介入します。そう、ポーンをプロモーションのマスに置いたまま時計を押したらイリーガルなんです。私の持ち時間に2分が足され、白は次回イリーガルをやったら即 負けと宣言されます。教科書通りの対応なんですが、これを実践するのってかなり負担な気がします。


3ポーンダウンですが、いかんせんクイーンのエンドゲームです。長引きそうなのでドローオファーするも蹴られます。


さらに20手後、今度はポーンの数を同じにしてからドローオファー。54.Qe4+ Qxe4+ 55.Kxe4 で合意のドローが成立。
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自分が観戦しているゲームで片方のプレーヤーが駒を動かした手とは逆の手で時計を押してました。これは本来はイリーガルで、ペナルティが必要でした。私はアービターではないので何も言いませんでしたが(そもそも言ってはいけない)アービターだったら大変です。

私が直接聞いたわけではないですが、一日コース(指し切り)で持ち時間が2分を切った優位な方のプレーヤーは5秒/1手が加算されるように要求できるというFIDEルールが適用されたそうです。これは非常に良い変化です。私が指し切りの大会(クリスマス、正月)に参加しなくなったのは有利な局面を築いてもドローオファーを受けてもらえず時間が落ちて負けたことが非常に不満だったからです。

他にも変化はありました。遅刻が30分までになったことです。以前は1時間でした。

ただ、今回から変わるかもしれないと思っていたのに変わらなかったこともありました。強制BYEが1ポイントではなくて0.5ポイントのままであること(事前に告知されているので問題はないですが、なぜこんな簡単なことをFIDE標準に合わせないのか不思議です)と30分ごとに各ボードの時計の状態を記録するという作業はやっていた気配を感じませんでした(私が気付いていないだけかもしれません)。

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