2016年11月12日

小島君のレクチャー:Carlsen と Karjakin


今日は世界選手権での争いが始まったばかりの Magnus Carlsen と Sergey Karjakin のゲームがそれぞれ2ゲームずつ取り上げられました。

Carlsen は この Boris Gelfand とのゲーム の中で g2 のビショップが活かせるようにダイアゴナルを開けるための工夫を見せてくれます。

15.g4!。狙いは e4 のナイトを取る際に、ビショップで取り返せないようにすること。

また、帰宅後 このゲーム の続きを見たのですが、他にも目を疑うような手を指していました。

26.Nc2 を指したところです。タダに見えますし、26...Nxc2 27.Bd5+ はたしかに痛そうですが、致命的には見えません。でも、Gelfand は取らなかったのできっと取るのは悪い手なのでしょう。

一方 Karjakin は この Alexandra Kosteniuk とのゲーム でタクティクスの強さを見せてくれます。

30.Qxa6 Rxc1+? 31.Rxc1 Rxa6? って「?」が2回も付いてますが、

32.Rc8+ Qe8 33.Rxe8+ Kf7 34.Ra8

Kosteniuk が見落としたのは白の最後の手のようです。

世界チャンピオンを争う二人なのに、Carlsen が勝つであろうと予想されているようです。有名なGMがたくさんいるのに一人だけ抜きん出て強いというのは結構不思議です。私はレーティング1800以上の10代や20代にまったく勝てませんし、その彼らは小島君には敵わず、小島君も有名GMには勝てないという食物連鎖のようになっています。しかし、GMは皆 幼い頃からやっていて、知識の量も読みの深さも速さも一流なのに Carlsen だけ何がそんなに違うのでしょう?エンドゲームが強いとはよく言われていますが、序盤と中盤を切り抜けないとエンドゲームにはたどりつけないので、決してそれだけではないはずです。天才とはそういうものなのでしょうか。
ちなみに、今日レクチャーに参加していたE君は上記の Karjakin のゲームの 30.Qxa6 を読めるくらいなので、明らかにレベルが上がっています。彼には去年はぎりぎり勝っていて、今年の5月はドローでしたが、次回当たったら負けると確信しました。私がチェスを始めた10年前はJCAの大会に参加する小中学生にそんなに強い子供はいなかったと記憶していますが、最近はもう高校生でも鬼のように強い気がします。

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