2014年8月24日

Homeless Pony

Shin Uesugi'Page でチェスの動画を配信する上杉君が iOS 向けのゲームを開発しました。これはパズルの一種で、以下が問題の1つです。

■遊び方は、ポニー にニンジン を残さず食べさせながら、ゴール まで連れて行くというものです。
■ポニー はチェスの駒のナイトと同じ動きをします。濃い色のマス がありますが、それはポニー が次に行けるマスの候補を示しています。

■一度乗ったマスにはもう一度乗ってはいけません。ここはチェスの ナイト・ツアー と同じですね。

■罠(?) があるマスも通ってはいけません。

チェスのナイトの動きをご存知の方には簡単かもしれませんが、そうでない方にはそこがネックになる気がします。ピンとこない方のために上記の問題の答えを赤線で示してみました。

無料ですので、遊べる方はぜひ試してみて下さい。

感想としては、短い時間の暇つぶしには非常に良いです。オプション機能としてあったらよかったと思われるのが、行先の候補となるマスの強調表示をやめること(チェス・プレーヤーだったら無くても分かると思うので)と一度通ったマスに目印を付けること(どこを通ったか忘れてしまう人向けに)くらいでしょうか。

動画を配信するというのもそうですが、iPhoneで使えるアプリを開発するというのも時代の波に乗っていて将来有望な若者だという印象受けます。

2014年8月23日

小島君のレクチャー: Tal


今日の小島君のレクチャーは Mikhail Tal のゲームの紹介でした。私は歴代の世界チャンピオンのことをあまり知りませんが、タリだけは「サクリファイスをよくする」「リガの魔術師」「タリのナイトは速い」「不健康」のような特徴を耳にします。以下は今日取りあげられたゲームの1つで、タリは白。
1.e4 c5 2.Nf3 d6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Nf6 5.Nc3 g6 6.Be3 Bg7 7.f3 Nc6 8.Qd2 Bd7 9.0-0-0 Qa5 10.Kb1 Rc8 11.g4 h6 12.h4 a6 13.Be2 Ne5 14.g5 hxg5 15.hxg5 (以下の局面)

ここで黒は 15...Rxh1。16.Rxh1 とすぐに取り返すのが多くの人が一番最初に考える自然な手だと思いますが、タリはここで 16.gxf6 です。それに対して黒はごく自然な 16...Rxd1+ (以下の局面)。

多くの人はここで 17.Qxd1 か 17.Bxd1 でしょうが、ここはまさかの 17.Nxd1! でクイーン交換を誘います。17...Qxd2


ここはノータイムでクイーンを取り返す人が多いと思いますが、ここでタリはとどめの 18.fxg7。黒はプロモーションを止められません。また、メイトスレットになっています。ここで黒はリザインしたようですが、仮に続けていたとしたら 18...Be6 19.g8=Q+ Kd7 20.Qxc8+ Kxc8 21.Bxd2 で、これだと白は2ピースアップです。

一見無謀に見えるけれども最後まで計算されている手なんですね。すごいです。

2014年8月12日

ジャパンリーグ最終日

7ラウンド目。黒。事前申請BYEの反映漏れが発覚し、ペアリングが当日の朝に変わりました。主催側のミスによるペアリングの組み直しは良くないことですが(突如BYEを喰らった方は遠方の方でとても気の毒でした)私の対戦相手は初対局の人に変わったので、個人的には結果オーライ。Y君。Scandinavian。

避けようと思えば避けれるはずなのに、なぜか何度も痛い思いをしている ...Bg4 ...Nc6 ...O-O-O のセットアップをしてしまいました。複雑な局面が好きなわけでも得意なわけでもないのに ...

上は 21.Qf5+ に対して 21...Kb8 と避けた直後の局面です。ここで 22.Rxe5 が来ることは予期していましたが、22...Qd6 でナイトを守れない(23.Nb5 でクイーンは追い払われる)ことを見落としていました。いろいろ考えましたが結局ナイトを手放すことになりました。

それでも、一発逆転の僅かな可能性に賭けて少しずつ少しずつ相手のキングサイドを削っていましたが、...Rd2+ のような反撃の余地は当然与えてくれませんでした。上の局面でリザイン。
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トータルで2勝4敗1分で2.5ポイントでした。アップセット勝ちが1つあったのが救いです。
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大会の写真はおそらく明日アップできると思います。

2014年8月11日

ジャパンリーグ3日目

5ラウンド目。H君相手に初めて白。1.d4 Nf6 2.Nf3 に対して Budapest Gambit のような 2...e5 は来ないだろうから何が来る分かりませんでした。2...e6 で Queen's Indian っぽくなりました。

逆色ビショップが残ってドロー。
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6ラウンド目。黒。O君。Queen's Gambit Declined、Cambridge Springs Variation 似になったので、Nc3 に対するピンを応用できました。

白の直前の手は 9.a3 でしたが、これでは実は 9...Bb4 を防げません。これで1ポーンアップ確定です(...Bxc3 の後、白は bxc3 と取り返すしかないので c3 か a3 かどちらかのポーンが落ちます)。

このまま1ポーン差を守れれば勝てると考えていました。相手の時間が落ちそうなので尚更。ところが、相手のナイトの侵入(28.Ne5)を許してしまったのが失敗でした。

28...Nb6 でc6ポーンに対するルークの横から利きを止めましたが 29.Qc5 と正面からも攻められてクイーンサイドが崩壊しました。負け。

2014年8月10日

ジャパンリーグ2日目

3ラウンド目。白。T君。1.d4 e6 に対していつもなら 2.Nf3 ですが、今日は珍しく2.e4 で French にしてみました。相手のレーティングは私よりも200以上高いので本来のポテンシャルは高いはずですが、もったいないミスが目立ちました。例えば、Bxh7+ のスレットを見落としていたり、


せっかくの反撃チャンスであった 45...d5-d4 突きに対して白はバックランクメイトが弱いので 46.cxd4 と取れないのでまず 46.Rf3+ を入れますが、ここで 46...Kg5? と避けたため、私はバックランクの問題を解決する 47.h4+ を入れることが出来ました。これで、白から cxd4 を入れ、Rf3-d3 でポーンの後ろにルークをまわし、dポーンを押せました。勝ち。
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4ラウンド目。黒。K君。久しぶりのSemi-Slav。
ず~っと窮屈で、初めて相手側の陣地にピースを入れることが出来た 28...Qb4。相手のb2のポーンも攻撃しているし素晴らしい ... と思っていたら相手は迷わず 29.Rxd7!。いくらバッドビショップとは言え、無いよりはマシだったはずです。タクティクス能力の高い人には勝てる気しません。負け。
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今日はなぜかこの対局時計(Saitek)が40手を経過した時点で即座に30分加算されないことを英語で2回も説明しました。

2014年8月9日

ジャパンリーグ1日目

1ラウンド目。黒。Y君。Queen's Gambit Declined, Cambridge Springs Variation。

以前似たような局面でaポーン取ってクイーンが帰れなくなったことがあります。ですが、レーティング差が400以上もあるとリスクを取ってでも何かしらのアドバンテージを得ないと何も出来ないまま終わってしまう気がするのでポーンを取りました。

rr3nk1/pp1bBpbp/2p1pNp1/q3P3/3P4/2PB1Q2/5PPP/2R2RK1 b - - 14 20
案の定、苦しい展開になりました。本当はこのナイトを取りたくないのですが、20...Kh8 だと 21.Bxf8 の後、ピースが落ちます。例えば、21...Bxf8 ならば、22.Nxd7 でビショップが落ち、21...Bxf6 でも白は 22.Bb4 とクイーンに当てた後、f6 のビショップを取れます。そこで受け切れることを期待しつつナイトを取りますが、20...Bxf6 21.Bxf6 h6 22.Qh3 h5 23.Qe3 Kh7 24.Qg5 Be8 25.Qxh5+(下の図)とメイトまで一直線でした。負け。

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2ラウンド目。白。詐欺レートランキングで常に上位に入るM君。Pirc。

r1bq1rk1/pp2p2p/3p1np1/2p3Q1/3PP1n1/2N2N2/PPP2PP1/R3KB1R w KQ - 0 14
この局面で30分以上費やしました。14.e5 か 14.Bc4+ で何か良いことないかひたすら考えていましたが、私の脳内解析ではバラ色の未来には見えなかったので 14.dxc5 dxc5 15.Qxc5 でポーンアップというショボイ手を選択。ブログを書きつつ Fritz の Infinite Analysis にかけてますが(下の図)、14.e5 や 14.Bc4+ の方が良かったようですね。

少し進んだ以下の局面は、黒のナイトを f2-f3 で追い払う準備として 17.Nd2 と指したところです。


そしたら2~3秒で 17...Nxf2! が飛んできました。内心「うわ、タクティクス読むのはえ~」と動揺しています。18.Kxf2 だと 18...Nxe4++ のダブルチェック&ナイトフォークでクイーンが落ちるので、18.Bc4+ e6 19. Rf1

ここでまた“どうしてそんな手が成立すると考えたのか理解出来ない”としか形容のしようがない 19...N2xe4 が飛んできました。しかも、素早く。私よりもタクティクス能力がはるかに優れていることは明確です。しかし、20.Ncxe4 Nxe4 21.Rxf8+ Kxf8 22.Nxe4 Qxc4
の後の局面(下の図)を眺めていると勝てそうな気がしてきました。

23.Qf4+ Kg7 24.O-O-O
ここまで来て勝ちを確信。Qf6+ の後、Rd8+ や Rh1+ があるし、黒のビショップが動けば Rd7+ もあるのでメイトスレットがたくさん。本譜は 24...h5 25.Rd8 Bb7 26.Qf8+ で、相手がリザイン。たまたま勝てるポジションになっていたのでまさに “運が良くて” 勝てたゲームでした。