2011年11月8日

通信チェスならでは?

■その1

以下は私が参加している Sicilian Najdorf のテーマ戦の一局面で、白番です。

白の9手目までは定跡の範囲なので、気になる方のためにここまでの手順を記しておくと 1.e4 c5 2.Nf3 d6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Nf6 5.Nc3 a6 {Thematic Game - This is the starting position.} 6.Bc4 e6 7.Bb3 b5 8.O-O Be7 9.Qf3 Bb7 です。黒が 9...Bb7 の代わりに 9...o-o? と指すと 10.e5 でルークとナイトへの同時攻撃となり白が駒得します。

通信チェスの特徴の一つは本等のリファレンスを有効活用できることです。私は『starting out: the sicilian』を参照していたのですが、ここで 10.Bxe6! fxe6 11. Nxe6 Qd7 12.Nxg7+ Kf7 13.Nf5 で白はサクリによってピースの代償に良いポーン3つを得て、黒キングはポジションに困ると書いてありました。

OTBのゲームで相手がナイトを捨てて私のキングの周りのポーンを3つ奪っていったことはあります。しかし、私はいまだかつて自ら進んでそのような交換をしにいったことはありません。勝ち切る自信はなかったのですが、そういう imbalance(不均衡)を経験するのも悪くないと自分に言い聞かせて本の通りに指しました。

10.Bxe6 Qb6

さっそく想定外の手を指されて焦りました。11.Be3 fxe6 12.Nxe6 理由は分かりませんが相手はここでリザイン。相当気合を入れて指したのにあっけない結末でした ...

■その2

以下は Chess.com で今日終了したゲームの一局面で、白番です。


r4rk1/2q1bp1p/p3p1p1/1p2P3/3PQ3/PPP2R1R/1B4PP/6K1 w - - 0 25

クイーンを使って Qxh7# を狙いたいところですが、その手順がなかなか見つかりません。hファイルから如何に侵入するかばかり考えていましたが、その過程で、黒キングに逃げられないようにするには f7 のポーンが固定されていた方が何かと都合が良いことに気付きました。そこで

25.Rf6!

相手のマイナーピースが強すぎて半分やけくそ気味にルークで切ったりすることはありますが、交換してくれた方が嬉しいという意味ではこの手はそれとは違います。また、この手を思いついた後、想定される相手の応手を駒を動かしながら確認できるのも通信チェスの良いところです。

25...Kg7 26.Rhf3 Bxf6 27.exf6+ Kg8 28.Qe3 1-0


やはり f6 のポーンと f7 のポーンで黒キングが閉じ込められているのが決め手となりました。ルークをマイナーピースと交換しても全然構わないケースの珍しく分かりやすい例だと思ってます。以下はこのゲームをPGNです:

[Event "Premium Member "No Mercy" Gutter Brawl - Round 1"]
[Site "Chess.com"]
[Date "2011.07.30"]
[White "scandinavian_blitz"]
[Black "roughneck1020"]
[Result "1-0"]
[WhiteElo "2061"]
[BlackElo "1775"]
[TimeControl "1 in 5 days"]
[Termination "scandinavian_blitz won by resignation"]

1.d4 e6 2.Nf3 Nf6 3.e3 Be7 4.Bd3 O-O 5.O-O Nc6 6.b3 a6 7.Bb2 d5 8.Nbd2 Nb4 9.Be2 b6 10.a3 Nc6 11.Bd3 Bb7 12.Qe2 Nb8 13.Ne5 c5 14.f4 cxd4 15.exd4 Nc6 16.Rf3 Qc7 17.Raf1 Bd6 18.Rh3 g6 19.Rff3 Ne4 20.Nxe4 dxe4 21.Bxe4 Nxe5 22.fxe5 Bxe4 23.Qxe4 Be7 24.c3 b5 25.Rf6 Kg7 26.Rhf3 Bxf6 27.exf6+ Kg8 28.Qe3 1-0

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