2011年11月30日

小島チェススクール第一回

■開始前のアンケートの中で残業がなくても私は18:30以降開始でないと着くのは難しいと答えたこともあり、この講座の開始時刻は当初の18:00から18:15に変更していただけました。それでもやはり遅刻しないように走ったりはしたくないので、有給休暇を使いました。会社員の方ならご存知かもしれませんが、今は有給休暇は1時間単位で取得できます。夕食をゆっくり食べてから参加する余裕が出来るだけでなく、1時間早く帰ることを事前に他の社員にアナウンスすることによって予定の時刻に帰りやすくなります。

■参加費1000円は直感的には安すぎだと感じました。内容の濃さやレベルに対する対価としてという意味ではありません。チェスはあくまでも趣味であって仕事は他に持っている人(あるいは働かなくても食べるのに困らない人)がチェス普及のために行なうイベントで場所代だけ払えればいいというなら妥当なレベルかもしれません。そうではなくて、もしもチェスで生計を立てようと考えていて、尚且つ、一国のトッププレーヤーという立場なら、それなりのプレミアムを乗せても良かったのかも。本来であれば需要と供給のバランスによる“見えざる手”によって適正な価格というものが自ずと定まるのでしょうがプレーヤー人口の少ないチェスだと相場というものがないのでそこらへんの手探りは難しいでしょうね。

■twitterで相互フォローしている方に初めて会うことができました。吉祥寺の大会でも同様なことがありましたが、先にtwitterでつながった人に実際に会うというのは不思議な感じがします。インターネットの時代ならでは、みたいな。

■盤と駒は持参しましたがそれらの出番はありませんでした。iPhoneのアプリ(Stockfish)を使っていたからです。だからといって骨折り損だったとは思いません。1手目から順に並べるならばアプリでもいいですが、今回はそういう機会がなかっただけで、特定の局面を再現するには実物の盤駒の方が圧倒的に速く出来ます。今回失敗だったのは紙を持っていくのを忘れたことです。リュックにたまたま入っていたハガキにメモをとりました。

■ポーンの使い方というテーマでしたがその本題よりもオープニングの解説として面白かったです。題材となった French も King's Indian Defense も私はあまり縁がないので、どちらも解説無しに自分で並べても意図の分からない手が多いようなオープニングです。手の意味が分かるとちょっとは指してみようかなという気になります。


■講義の最後に、私個人として興味のあるトピックを今後扱う予定があるかどうか尋ねてました。それは①ポーン・ブレイク(テンションの解放)のタイミング、②キャスリングする側の選び方、③IQP(isolated queen pawn)です。②は例えば以下のようなポーンストラクチャー(実際にはマイナーピースもいますがあえて省略しています)の時によく迷います。黒がクイーンサイドにキャスリングすると、ルークがセミオープンなdファイルに直行できる代わりにキングサイドのポーンをピースで攻められた場合に守りにくそうですし、特に ...c7-c6 としていると白にbポーンを進められてくるとキングの前のポーンが乱れそうで不安です。③は他の人も興味があるようです。私のオープニングのチョイスだとIQPになることは稀ですが、諸刃の剣的な性質があること以外はよく知らないので、詳しく知りたいです。IQPを解説した本はおそらく持っていますが、読むよりは聞いた方が時間効率が良く、その効率の良さや質問できることがこのようなレクチャーに参加するメリットだと思っています。

2011年11月25日

High-Speed Replay Training

今月の頭に『ボビー・フィッシャー/魂の60局』の1ゲームを1週間くらいかけて読み進めれば来年の終わりに読み終えると計算しました。

私は『Learn from Bobby Fischer's Greatest Games』という本も持っています。扱っているのは24ゲームですが、第2ゲームから第18ゲームまでは『ボビー・フィッシャー/魂の60局』と重複していることが判明。なので『~魂の60局』を読めば『Learn from ~』は半分以上読んだも同然であり、しかも二通りの解説を読むことができます。

さらに松戸チェスクラブのホームページで『ボビー・フィッシャー/魂の60局』のPGNファイルを見つけました。そこで、いきなり本を読む前に、まずは解説無しにさらさらとゲームを眺めてみることにしました ...
が、序盤も中盤もほとんど何が何だか分かりません。解説を読んでも、ほとんど理解できず愕然としました。

で、頓挫。

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それから一週間ちょっと経ったある日、twitterで High-Speed Replay Training(略してHSRT)という上達法を推奨する アカウント を見つけました。要旨は、

・1手6秒で棋譜を並べる。
・1日最低4ゲーム。
・今レーティングが1500なら1800までいける。
・大量の棋譜を脳に叩き込むことで大局観、手筋、戦略等を吸収。

半信半疑でした。でも「もちろん考えて並べるのも大事。でもそれは最低でもR1800以上は必要。GMの深遠な考えは到底理解できないから。とにかく最初は速く!」というフレーズが妙に説得力があり、騙されてみようという気になりました。『ボビー・フィッシャー/魂の60局』を題材に昨日と今日と4局ずつやってみました。今のところ1手9秒くらいです。手に!?や?が付いているとつい解説を読みたくなってしまいますが、とにかくどんどん読み進めます。特に楽しいという感じはしませんが、多少のパターン認識は出来ているようです。第6局目と第8局目のルイ・ロペスの序盤はほとんど同じなのは分かりました。どれくらい続くか分かりませんが、今時点では出来るだけ長く続けてみようと思っています。

2011年11月8日

通信チェスならでは?

■その1

以下は私が参加している Sicilian Najdorf のテーマ戦の一局面で、白番です。

白の9手目までは定跡の範囲なので、気になる方のためにここまでの手順を記しておくと 1.e4 c5 2.Nf3 d6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Nf6 5.Nc3 a6 {Thematic Game - This is the starting position.} 6.Bc4 e6 7.Bb3 b5 8.O-O Be7 9.Qf3 Bb7 です。黒が 9...Bb7 の代わりに 9...o-o? と指すと 10.e5 でルークとナイトへの同時攻撃となり白が駒得します。

通信チェスの特徴の一つは本等のリファレンスを有効活用できることです。私は『starting out: the sicilian』を参照していたのですが、ここで 10.Bxe6! fxe6 11. Nxe6 Qd7 12.Nxg7+ Kf7 13.Nf5 で白はサクリによってピースの代償に良いポーン3つを得て、黒キングはポジションに困ると書いてありました。

OTBのゲームで相手がナイトを捨てて私のキングの周りのポーンを3つ奪っていったことはあります。しかし、私はいまだかつて自ら進んでそのような交換をしにいったことはありません。勝ち切る自信はなかったのですが、そういう imbalance(不均衡)を経験するのも悪くないと自分に言い聞かせて本の通りに指しました。

10.Bxe6 Qb6

さっそく想定外の手を指されて焦りました。11.Be3 fxe6 12.Nxe6 理由は分かりませんが相手はここでリザイン。相当気合を入れて指したのにあっけない結末でした ...

■その2

以下は Chess.com で今日終了したゲームの一局面で、白番です。


r4rk1/2q1bp1p/p3p1p1/1p2P3/3PQ3/PPP2R1R/1B4PP/6K1 w - - 0 25

クイーンを使って Qxh7# を狙いたいところですが、その手順がなかなか見つかりません。hファイルから如何に侵入するかばかり考えていましたが、その過程で、黒キングに逃げられないようにするには f7 のポーンが固定されていた方が何かと都合が良いことに気付きました。そこで

25.Rf6!

相手のマイナーピースが強すぎて半分やけくそ気味にルークで切ったりすることはありますが、交換してくれた方が嬉しいという意味ではこの手はそれとは違います。また、この手を思いついた後、想定される相手の応手を駒を動かしながら確認できるのも通信チェスの良いところです。

25...Kg7 26.Rhf3 Bxf6 27.exf6+ Kg8 28.Qe3 1-0


やはり f6 のポーンと f7 のポーンで黒キングが閉じ込められているのが決め手となりました。ルークをマイナーピースと交換しても全然構わないケースの珍しく分かりやすい例だと思ってます。以下はこのゲームをPGNです:

[Event "Premium Member "No Mercy" Gutter Brawl - Round 1"]
[Site "Chess.com"]
[Date "2011.07.30"]
[White "scandinavian_blitz"]
[Black "roughneck1020"]
[Result "1-0"]
[WhiteElo "2061"]
[BlackElo "1775"]
[TimeControl "1 in 5 days"]
[Termination "scandinavian_blitz won by resignation"]

1.d4 e6 2.Nf3 Nf6 3.e3 Be7 4.Bd3 O-O 5.O-O Nc6 6.b3 a6 7.Bb2 d5 8.Nbd2 Nb4 9.Be2 b6 10.a3 Nc6 11.Bd3 Bb7 12.Qe2 Nb8 13.Ne5 c5 14.f4 cxd4 15.exd4 Nc6 16.Rf3 Qc7 17.Raf1 Bd6 18.Rh3 g6 19.Rff3 Ne4 20.Nxe4 dxe4 21.Bxe4 Nxe5 22.fxe5 Bxe4 23.Qxe4 Be7 24.c3 b5 25.Rf6 Kg7 26.Rhf3 Bxf6 27.exf6+ Kg8 28.Qe3 1-0

2011年11月5日

CTS様、長らくお世話になりました

Chess Tactics Server は正解率の計算方法で腑に落ちない点があったのと問題の難易度がやや低めなので代替品を探しており、今日良さげな候補を一つ見つけました。私が通信チェスでどっぷり浸っている Chess.com にある My Tactics Trainer です。これは CTS に比べると ...

■問題の難易度が高いです。高いと言っても今の私にちょうどいいレベルです。ちなみに、Chess Tactics Server の問題の難易度は解答者のレーティングに応じて決まりますので、レーティング重視で取り組んでいる方の問題はきっと簡単ではありません。

■手順が長いです。チェックメイトになるまで指させられる時があります。それに比べると肝心な一手さえ指せば終わることの多いCTSは今思うと結構あっさりしていました。

■コンピュータ側が悪あがきの手を指してくることがあります。直前の手が難しくて時間を費やして正解したのに、イタチの最後っ屁のような手の処理を間違えて不正解になった時は精神的ダメージは大きいです。でも、その方が実戦ライクでいいかな、と。

■Chess.com の方は盤駒の色を変更できます。私はこのようなカスタマイズが可能な場合、ほぼ必ず自分好みの色にします。

■My Tactics Trainer はデフォルト設定だと以下のように盤の下にタイマーが表示されます。時間がどんどん減っていくのを視覚化されると非常に焦ります。これも設定により消すことができるので私は消しました。



欠点というほどのことはないかもしれませんが、同じ10問を解くならCTSよりは時間がかかります。平日は会社の昼休みにやることが多いのであまりにも時間がかかるようなら問題数を減らす等の調整をする必要があります。

振り返ってみると私は3年以上このCTSを日課としてコツコツやってきました。長く続けてきたことを断ち切るのはちょっと躊躇しますが、目的が棋力向上である以上、より効果的だと思われる方に鞍替えするとは仕方のないことです。

My Tactics Trainer の問題を解くのは実は今日が初めてではありません。電車の中で iPhone を使って何問か既に解いています。しかし、その当時は無料会員だったので1日に3問までという制約が付いていました。今は有料会員なので無制限に利用できます。過去の履歴は一旦リセットし、ゼロからのスタート。初日の今日は10問解いて3問不正解で、正解率は70%。とてもCTSの時のような正解率(94.5%)は叩き出せそうにもありません。

最後に以下の局面は今日出題された問題です。思わずニヤリ。


3q1rk1/1p1bppbp/p2p3B/7p/2rNP3/2N2P2/PPPQ2P1/2KR4 w - - 0 1

ピルツ系統のオープニングでよく知られた罠で、黒のh5のナイトを白がルークで取った(Rxh5)後に黒がルークを取ると(...gxh5)この形になります。

ピルツになると私はダメ元で一応狙ってみるのですが、OTBのゲームでは決まったことがありません。しかし、先日 Chess.com の自分のゲームで珍しくこのモチーフが決まりました。

1.d4 g6 2.e4 Bg7 3.Nc3 d6 4.Be3 Nf6 5.f3 O-O 6.Qd2 b6 7.O-O-O Ba6 8.Be2 c5 9.dxc5 bxc5 10.Bh6 Bxe2 11.Ngxe2 Qa5 12.h4 Nc6 13.h5 Nxh5 14.Rxh5 gxh5

15.Qg5 1-0
こういう勝ち方を狙うにはオープニングの知識が必要ですから、ただゲーム数をこなしていてもダメで、勉強も必要だということを実感させられます。

2011年11月2日

長期的にコツコツと

今日は人間ドックでした。待たされている間は『Chess Training Pocket Book』の問題を解いていましたが、感じたことは Chess Tactics Server に比べて難易度が高いということで、逆に言えば、CTSの難易度が低いということです。CTSはブラウザベースなので会社でも気軽に出来るのがメリットなんですが、やっていて tactics のスキルが上がったという実感が湧かないので、他に試せるものがあるなら試してみたいです。

また、今よりも強くなるには、もっとチェスの本を読むべきだと考えています。多くの人が似たような状況だと思いますが、買ったきり読んでない本はわんさかあります。その中でも今目を付けているのが『ボビー・フィッシャー/魂の60局』。理由は、今年の残りの約8週と来年の52週を合わせて60週なら、1局につき1週間のペースで読み進めれば、ちょうど来年末に読み終えるはず、というだけでそれ以上深い意味はありません。それでも、目標に向かってコツコツ頑張るというのは自分の性に合ってます。

最後に 2011年10月9日 の投稿の後、私の体重がどう推移したかを以下に示しておきます(赤線部分が前回との差分)。昨年の人間ドックの結果に比べると4kg以上は減ったのですが、残念ながら自分が立てた目標には2kg届きませんでした。ダイエットの方も引き続きコツコツとやっていきます。

2011年11月1日

CTSの正解率

私の Chess Tactics Server 正解率は現在94.5%と表示されています。94.5%になったのは昨年の11月1日なので、1年間まったく変動しなかったことになります。しかし、最近の成績は本当はそれよりも低いのではないかと感じており、正解率が厳密に計算されているのか検証してみたいと前々から考えていました。

日々の成績は twitter でつぶやいており、私の集計作業が間違っていないならば、CTSの正解率は厳密ではなさそうです(※1)。私の推測(※2)通りならば、解いた問題数が多いと正解率は動かなくなります。自分のアカウントで100問くらい連続で間違えて正解率が下がらなければ私の仮説が正しいことが証明できるかもしれませんが、そこまでやる勇気はないので、解いた問題数が2万を超えていて且つ活動が盛んな(RD/ratings deviationの低い)人の正解率を観察しようと思います。

Handle Tries Success
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Yuna 66102 68.7%
Soryu 56124 81.5%
Yudai 42246 70.4%
keisuke 24596 68.7%

解いた問題数(Tries)がどんどん増えてもこの人達の成功率が全然変動しないようなら、私の推測は当たっている可能性が高いです。

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※1

直近1年分の成績を集計してみたら3839問解いて222問間違えており、正解率は
(3839-222)÷3839=94.22%
で、94.5% には届いていません。

1年より古い分は加重平均で計算します。
(1年より古い分+1年以内の分)÷全体の件数
=(11832問×94.5%+3839問×94.22%)÷15671問
=94.43%
で、やはり 94.5% には届いていません。

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※2

私の推測ではCTSは
(過去に解いた総問題数-過去に間違えた総数)÷過去に解いた総問題数
という計算式を使っておらず、
(直前までの件数×直前までの正解率+今回の結果)÷全体の件数
という式を使っており、今回の結果には100%(正解)か0%(不正解)のいずれかが入ります。計算結果は小数点第一位に丸められて次回の“直前までの正解率”になります。
このような計算方法だとすると、分母が大きくなると“今回の結果”が相対的に小さくなってかき消されてしまい、無かったことになります。