2017年12月9日

小島君のレクチャー:Two Bishop Sacrifice


本日のテーマは2つのビショップをサクって勝ちを狙うという楽しいテーマです。特に有名なのが この Lasker のゲームで、自分の持っている本にもたしかに載っていました。

Colle というオープニングを覚えたばかりの頃は Bxh7+ で始めて、次に Ng5+ や Qh5+ や Rh3+ のいずれかでメイト出来そうなアタックをするのが楽しみでしたが、最近はそんなサクリがキマることは滅多にありません。相手のレベルが高くなったこともあるし、その当時の自分と比べると今は自信のないサクリをしなくなったこともあります。

Colle を指していると Bd3 と Bb2 という今回のテーマにもってこいのポジションにビショップを配置することがよくあります。そして、今回どういうポジションにルークがいれば攻撃を継続出来るのかも分かりました。なので、もしかしたら実戦で応用できるかもしれません。

2017年11月18日

小島君のレクチャー:興味深いポーンのエンドゲーム

本日のレクチャーの本来のテーマは「ドローにするか続けるか」でしたが、私にはポーンのエンドゲームが一番お役立ちでした。

まずは floating square。理解していて応用出来るかどうかは別として、エンドゲームの用語の名前くらいはほとんど知っているつもりでしたが、こいつは初耳でした。上の写真のポジションのようにポーン2つ(黒)が作る四角形がプロモーションのマスまで届いていて、相手キングがどちらのポーンも取れないならば、プロモーションは出来るというものです。黒ポーンがa3とc3でなくとも、a4とd4、a5とe5にあっても成り立ちます。

そして、その floating square を踏まえた上で、以下のちょっとずつ異なるポジション(いずれも白先)で、白は勝てるか、ドローにしかできないか、負けるかを考えるという課題です。

6k1/6P1/p1p4P/8/1K6/8/8/8 w - - 0 1


6k1/6P1/p2p3P/8/1K6/8/8/8 w - - 0 1


6k1/6P1/p3p2P/8/2K5/8/8/8 w - - 0 1

解答はここには書きませんがチェスのアプリ等にコピペできるFENという記号を載せておきました。チェスのアプリなんか持ってないという方はシンプルなエンドゲームのポジションの解析に便利なこのサイト( Endgame Database )をご利用下さい。FENを入力すれば最短の手順を示してくれます。

2017年11月5日

Japan Open 3日目

5ラウンド目。黒。初対局のNさん。QGD Exchange Variation。


序盤は失敗したと思ってます。ここは 11.f3 とされるのが嫌でしたが、実際は 11.O-O。直前の手で作った弱点(f5のポーン)を 11...g6 で繕う悲しい状況。


粘っていたらチャンスが巡ってきました。28.g3?。ここは 28...g5 で動けないナイトをいただきます。相手がなぜかルークの総交換を許してくれたので、このマテリアル差(ビショップアップ)のままエンドゲームに突入。

上の局面で相手がリザイン。
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6ラウンド目。白。M君。2年前に当たった時は負かされてます。Colle。


決定打は見つけられなかったものの攻撃っぽいことをしていたら相手が間違えてくれて 17.dxc5が入りました。プレッシャーを作ることって大事ですね。黒がcポーンを取ったら 18.Bxf6 Rxf6 19.Qxg5 でピースアップできると期待していました。黒の手は 17...h5。自分なら見落としても不思議ではないベストムーブの 18.Qxg5 を見つけられました。18...Bxg5 19.cxd6 Bh4

このあともピースの清算で妥協しなかったおかげで、ベストな手順を見つけられました。20.Rxg6+ Kf7 21.Rf1+ Ke8 22.Bb5+ Kd8 23.Rxf8#

自分が相手をメイトしたのは久しぶりな気がします。
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2勝3敗1分の2.5/6ポイント。スタート順位は62人中46番目でしたが、結果もぴったし46位でした。そして、負け越しているのになぜか入賞もできました。賞金500円ゲット。金額は少なくても入賞はやっぱりちょっと嬉しい ...

2017年11月4日

Japan Open 2日目

3ラウンド目。黒。E君。Scandinavian。


g4ののナイトが守れていないのは承知してましたが、こっちの攻撃の方が速いだろうと考えて 20...Bb4。次に 21...Bxc3 としたら、白はクイーンを捨てないとチェックメイトを免れないだろうと思ってました。ところが、21.Bxg4 で、こっちのナイトを取られた上にあっさりとc3のナイトが守られます(g3のルークの横利き)。それでも、21...Nf6 に最後の希望を託します。22.Be5

白の最後の手は黒ナイトがc3に圧力をかけることを許す手にしか見えなかったので 22...Ne423.Qxh6+。自分にありがちな見落としでした(自分の駒を動かした後の駒の配置を頭の中でイメージできていない)。明らかに受け無しなのでリザイン。
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4ラウンド目。白。Lさん。以前対局したのはもう6年以上前でした。Colle。


ビショップの色が異なるのでドローっぽいし、勝つためのプランがあまり思いつきません。29.Bb5。a5のポーンを隔離した上で、Qd2とすれば、相手のピースのどちらかが守るだろうと考えました(それくらいしか指す手が思い浮かびませんでした)。が、しかし、29...Rxb5。粘ってもドローを取れる気がしないのでリザイン。はぁ~(ため息)。
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2017年11月3日

Japan Open 1日目

1ラウンド目。白。K君。Modern。


ここで 11.dxe4 か 11.Bg5 なら問題なかったでしょう。実際に指したのは 11.h3?

11...exf4 が g3 のナイトに当たるのが見えておらず単なるピースダウン。負け。

救いなのは小島君が「早い ...b5 には a2-24」と教えてくれたことくらいです。
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2ラウンド目。黒。Aさん。QGD Exchange varation。


本譜は ...Re4-h4-e4 を繰り返して(狙いはそれぞれ e2 のナイトと h3 ポーン)ドロー。ここは 33...c5 が良かったと指摘されました。言われてみるとそうですが気付きませんでした。しかし、私は小物なので格上相手ならドローでもハッピーです。
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2017年10月21日

小島君のレクチャー: Games of Isle of Man 2017


写真は池上のチェスセンターにあった こけス です。箱も和風。

今回は Isle of Man Open 大会より小島君が選んだゲームの紹介でした。オープニング、エンドゲーム、メイティング・アタック、等、いろんなテーマをカバーするようにピックアップされていました。

自分が常々もっと知りたいと思っているのは minority attack を受ける側(QGD Exchange variation における黒側)の対処法と相手がフィアンケットしている場合の攻め方なので、

前者に該当するこういう局面で「普通、黒からは取らない」というのを知れただけでハッピーです。「普通」どうするのかを知らないので。取るとb列に弱いポーンが出来るし、放置しても白から取ってくると c6 に守りにくいポーンが残るし、どっちも嫌なのでどうすればいいの?ってよく思います。


それと覚えておくと役に立ちそうなのはこのルークのエンドゲーム。41.Re7 でツークツワンクじゃないのかって考えましたけど、41.Ra6 Kf7 (そうしないと、次 42.e5-e6 が痛い) 42.d7 で黒は 42...Rxd7 とすると 43.e6+ を喰らうのでリザイン。私にはなぜリザインなのか理解できませんが、それは 42...Ke7 43.e6 (以下の局面)になったら、

44.Ra8、45.Rd8+、46.d8=Q が避けられないからだそうです。僕のレベルで役に立ちそうなのは、6段目にポーンが(取られずに)2つ並ぶと強いということとルークが横からポーンを守るのも状況によってはアリだってことですね。

2017年10月9日

東京オープン3日目

5ラウンド目。黒。Lさん。Colleもどき。


昨日の4ラウンド目と同様にクイーンサイドにキャスリング。僕はこういうどっちの攻撃が速いかを競うようなゲームが好きです。相手の直前の手は 17.Bb5。最初はキングとクイーンを縦に並べる 17...Qc7 は危険だと思って考えていなかったのですが(危険なので取る気はあまりないですが)c3のポーンを守る手を相手に強要させるし、黒マスのビショップと同じダイアゴナルに並んで攻撃の手助けも出来ることに気付きました。これで自キング以外のすべてのピースが攻撃的なポジションにいます。


その10手後に 27...Rxg2+ で相手のディフェンスを突破。タクティクスと言えるようなものはほとんどなく、駒の働きで押し潰した感じです。

これがもしかしてポジショナルなチェスってやつでしょうか?もしそうならば、自分はそういうスタイルを目指すのがいいのではないかと感じました。そういう方向性を示してくれたという意味でも良いゲームでした。
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6ラウンド目。白。Kさん。Anti-Colle。


本(↑)で読んで覚えていたのは 1.d4 d5 2.Nf3 Bg4 3.Ne5 で次の手が 3...Bh5 の場合のみ。本譜の 3...Bf5 は覚えていなかったのでここから先は自力。

曖昧な記憶のラインは実は間違っていたのですが、それでも、先にポーンアップ出来てちょっと満足。



上の局面では 16...Qxd4+ や 16...Qd2+ が threat となっているので、16.Qd3 で対処したつもりだったのですが、これが実はブランダーで 16...c4 を指されて a3 のビショップが消えます。

コンピュータはここから先でも挽回のチャンスがあったことを示してくれますが、実際にはジリ貧でした。以下のようにナイトフォークを喰らったところでリザイン。

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2勝3敗1分で2.5ポイント。自分のランク的にはまあまあの成績です。抽選会では本をいただきました。20年前のなのでもうNewではありませんが。


また、帰る際、ニュースにもなっていた池上線の一日無料乗車のイベントがまだやっていたので何はともあれ乗りました。

2017年10月8日

東京オープン2日目

3ラウンド目。黒。Oさん。Scandinavian。


ここまでは格上相手に1ポーンアップ。しかも、ポーンの形もこっちの方が良いです。しかし、この 28...Ba3 が想像以上に悪い手だと後で気付きました。29.Ra2 とされた後、c3 のルークが実は横に動けないのでナイトでルークを攻められた際にビショップを守れません。そのことにもっと早く気付いていればビショップを逃がす機会はあったのですが、実際には手遅れで以下のようになりました。34...Bb4 35.Nxc3 Bxc3 で exchange down。負け。

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4ラウンド目。白。T君。Anti-Colle。

初対局なのに私のオープニングを知っているだけでなく、私が指しそうな手まで読まれています。

普通はここで 12.exd4 と取り返すのでしょうが、早く攻めたい一心で 12.g5。ポーンを損するのは分かっていましたが、12...dxe3 13.gxf6 exd2+ 14.Bxd2 Qxf6 15.O-O-O(下の図)なら遅れていたキャスリングも出来るので気にしません。


3つ目のポーンまで取られましたが、これでようやくチャンス到来。24...Qh6 の後、 25.Rxg7+ と突っ込んでしまいましたが、ベストは 25.Qe3 か 25.Qd2 だったようです。教えられれば納得しますが、これはなかなか気付かないでしょう。


最後はここで相手からドローオファー。相手の持ち時間が30分以上あるのに対して私は3分。オファーを受けました。実際、Fritz の評価も 0.00 なのでOK。
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2017年10月7日

東京オープン1日目

1ラウンド目。黒。F君。QGD。


ここで本譜は 12...Qa5 でしたが、Fritz先生が 12...Rxc3 13.Qxc3 Bb4 (狙いは Nxd3) があったと教えてくれました。黒が良かったのはこのあたりで徐々に白良しに転じていきます。


ここで 43...Rc8 とぶつけたのが最大の敗因。44.Rxc8+ Kxc8 45.Kd6

もうダメですね。エンドゲームとやらをすっかり忘れている気がします。負け。
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2ラウンド目。白。Kさん。Colleもどき。

Bc5 による串刺し狙いの 15.Qc4。指した後で、15...b5 とされるとあまり面白くないなと考えていたのですが、Fritz先生も 15.Qc4 がベストだと言ってくれてるので良しとします。15...Qe8? 16.Bc5

これで自分の方が良いと実感できたので、この優位性(Bxf8 による exchange up)を崩さないように丁寧に指しました。勝ち。

2017年9月9日

小島君のレクチャー: Silent Moves


今日のテーマは silent move。詰め将棋には無いと言われるやつですね(違っていたらごめんなさい)。


一番意外性のある silent move は Tarrasch の このゲーム31.Bc7!!(上の図はこの手を指す直前)ですね。黒はこれでリザインしたらしいですが、もし自分が黒だったら先が読めないのできっと 31...Rxc7 か 31...Qxc7 のいずれかを指して 32.Qb7+ なり 32.Rxc5+ Qxc5+ 33.Qb7+ なりを喰らって事態の深刻さにようやく気付くのでしょう。

今日紹介された3つ目のゲームのポジションはこれ(下の図)。Reti-Bogoljubov の このゲーム より。

本で見たことのある以下の問題に類似していることに気付きました。また、同じ問題を Chess.com の Tactics Trainer でも見たことがあります。

しかし、今日のレクチャーのポジションは自分の知っているその問題よりも駒が多いです。単に同じ試合のもっと前の状態なので当然なのですが。いずれにせよ、局面の特徴(白のh5のビショップと黒のf8のビショップ)にすぐにピンと来たということはパターン認識が出来ていることなので、そこは嬉しく思いました。

2017年8月26日

小島君のレクチャー: Mating Attack



世界チャンピオンが強いのは当たり前ですが、Alekhine のこのフィニッシュは人間業とは思えません。棋譜は ここ にありますが、何よりすごいのは目隠しの多面指しだったということです。


Alekhine が白で、上の局面から 22.Bxf6 Qxf6

23.Re8+ Nf8

24.Nh6+ Qxh6

25.Rxf8+ Kxf8

26.Qd8#
当たり前かもしれませんが、自分が生きているうちにどう頑張ってもこれは出来そうにありません。目隠しされてなくて、多面指しでなくて、時間がどんなにたっぷりあっても無理ですね。世界チャンピオンがどれだけ凄いか(強いか)が良く理解できるゲームでした。