2013年6月16日
『ダークゾーン』
山田風太郎の『甲賀忍法帖』に似ているというtwitterのつぶやき(紹介)がきっかけで『ダークゾーン』という小説を図書館から借りて読みました。人間が将棋やチェスのような駒となって強制的に戦わせられることになるお話です。
チェスの駒が表紙に使われていますし、プロモーション等のチェスの用語がちょこちょこと使われていますが、一番驚いたのは minority attack という単語が使われたことです。チェスのルールを覚えるためにチェスをかじる程度だけではこのような戦略に関する単語を使える域には達しないと思うので、著者の貴志祐介自身がかなりチェスを知っているか、チェスプレーヤーに小説に使えそうな題材をいろいろとヒアリングしたとしか思えません。
主人公は奨励会のメンバーで将棋のプロになることを目指していますが、前途多難です。つい、最近話題のチェスのIMノームと比較してしまいますが、この小説を読むかぎりでは将棋で四段(プロ)になることの方が厳しそうでした(GMノームだとこのくらいでしょうか?)。残念だったのは主人公の置かれている立場や言動等が私とあまり似ていないことです。そのせいで本来ならば苦しい悲しい境遇であってもあまり共感できませんでした。
先が気になって読み浸ってしまうだけの面白さが私にはありましたが、現実離れした設定はきっと万人向けではありません。この本が好きかどうかは最初の数ページでだいたい分かります。これからこの本を読む人がいるなら、舞台となる軍艦島の写真を見ておくこと(Googleで画像検索、等)をお勧めします。
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2 コメント:
貴志さんは京都大学チェス部出身です。
情報ありがとうございます!そうでなければ書けないですよね。
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