大会が終わったので明かしますが、松戸には 1.e4 対策としてフレンチのルービンシュタインを指そうという“ゆるめ(強制ではない)”の方針がありました。最初はちょっと意外でした。個人の成績はチームの成績に影響するので皆自分が最も得意とするオープニングを使うのが普通かなと思っていたので。しかし、逆にチーム戦でなければオープニングを揃えることもないでしょう。こういうきっかけでもないと新しいオープニングを覚える機会がなかなかないので、私は前向きに取り組みました。私は 1.e4 プレーヤーではないので元々あまりフレンチとは縁がなかったので一週間は準備期間としては短かったですが、とりあえず即席フレンチ・プレーヤーとなりました。
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4ラウンド目。相手は東北大学のP君(1480(6))。仮レーティングだから4番ボードに座っていますが、本当はもっと強いらしいです。私は黒。今朝、私に当たることを想定してスカンディナヴィアンの3つのバリエーションの対策をしてきたそうです。しかし、松戸の方針に忠実に私はフレンチ。相手が迷わずに速く指してくるので焦りました。当たり前ですが、私よりも明らかに慣れています。
下の図は私が 12...Bc5-d6? と指した直後。
r1bq1rk1/p4pp1/1p1bpn1p/4N3/7B/3B4/PPP2PPP/R2Q1RK1 w - - 0 13
指してから 13.Be4 Rb8 14.Nc6 のナイトフォークが見えてちょっと萎えました。また、P君は 13. Ng4 Be7 14. Qf3 Qd5 15. Nxf6+ Bxf6 16. Be4 (下図)というもっと強烈なラインを考えていたそうです。
しかし、なぜか実際に指された手は 13.Nc4。それを見てちょっと安心。自分の方がポジションが良くなったかなと思っていた頃、白が不思議な手(25.c2-c4)を指してきました。
8/p4pk1/bpB1p2p/5p2/2P2b2/4NP2/PP3P1P/6K1 b - c3 0 25
黒マスのビショップを残しておいた方が有利に見えました。しかし、交換すれば1ポーンアップだし、ドローになりやすい異色ビショップのエンドゲームにはならないので、25...Bxe3 26.fxe3 Bxc4 と進めました。しかし、これは彼が仕掛けた不利な状況をドローに持ち込むための“エンドゲーム・トラップ”でした。私はその罠にまんまとハマってしまったわけです。ドロー。チーム(松戸B)は負け。
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5ラウンド目。相手は東京チェスクラブのHさん(1470)。黒。フレンチのルービンシュタイン再び。ナイトに対するピンが鬱陶しかったので、12...Qb6 と指しました。
r1b2rk1/pp3pp1/1q2pn1p/2b5/7B/3B1N2/PPP2PPP/R2QR1K1 w - - 0 13
Qxb2 という threat もあるし、13.Bxf6 には 13...Bxf2+ で返せるから白は b2 の地点を守るだろうと予測していました。ところが、13.Bxf6! Bxf2+ 14.Kf1 Bxe1。これでエクスチェンジアップしたつもりでした。15.Bd4!。完全に見落とし。
本当は自分の方が損をしたのは分かっていましたが、ルーク+ポーンとナイト+ビショップの交換ならポイント的には等価交換だと自分に言い聞かせながら指し続けました。しかし、今度は見落としにより串刺しを喰らいます。これで完全なピースダウン。
交換したくないピースまで交換を強要され、かなり敗色が濃厚でしたが、一発逆転のプローモーション狙い(下図)が功を奏し、ドローに持ち込めました。
チーム(松戸B)は負け。
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6ラウンド目。私はお休み。
最初は同じチームのフレンチのルービンシュタインのゲームを観戦。フレンチはちょっとでも手順を間違えるとアウトという印象を受けました。
次に優勝圏内にいる松戸Aチームを観戦。4番ボード、ドロー。3番ボード、ドロー。こうなると上位ボードが勝たねばなりませんが、生憎どちらもドロー気味。1番ボードと2番ボードがお互いの状況を確認しながら指しているのが分かりました。動きがあったのは2番ボード。真鍋さんはおそらくドロー(スリーフォルド)を避けるために不本意な手を指していたと想像しますが、それでも見事にナイトを捨ててプロモーション。チェスの技量が高くなければ当然そんなことは出来ませんが、それ以外にも相当な精神力がないと成しえなかったと思います。勝利への大きな貢献でした。これで、松戸Aチームは優勝。
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