チェスを始めてもう10年経ちました。レーティングは長い間頭打ち(どちらかというと下降気味)で、学生さん達にどんどん抜かれていって悲しくなることが多々あります。始める年齢が若ければ若いほど最終的に到達できるレーティングが高くなるのはもう明らかで、30台後半で始めた私にはかなり厳しい世界です。
twitter で既につぶやいたことですが、私は何かをやるからには強く(上手く)なりたいです。そこでこの年齢(40台後半)から始めて自分が極められそうな新しい趣味を模索しましたが、そんな都合の良い競技はどの分野(スポーツ、マインドスポーツ、eスポーツ)にもなさそうです。ならば、チェスをもう少し頑張ってみよう。そう考えました。振り返ってみると、ここ数年 何をしてきたかというと1日10問 tactics の問題を解くだけでそれ以外のことはほとんどしていません。やってないことがある以上『俺はまだ本気出してないだけ』と思うわけです。今までの経験上、自分に足りないと感じるものは重要なものから順番に ...
(1) 棋譜並べ
(2) Vision
(3) 実戦
(4) エンドゲーム
(1) なぜ棋譜並べか?検討戦をするとよくあるのが最善手をそもそも候補手の中に含めておらず読んでもいないというケースです。なぜ候補手にすら挙がってこないかというと上級者にとって当たり前のことが私には当たり前ではないからです。例を挙げるのが難しいですが、強いて挙げるならば 1.d4 d5 2.c4 c6 3.Nf3 Nf6 4.Nc3 dxc4 (上の図)の後の 5.a4 みたいな手です。上級者だとこうやれば取られたポーンを取り返せるということをもう経験的・感覚的に分かっているようで、類似の局面で苦もなく応用している(この例の a2-a4 に相当する手を当たり前のように指す)のを見ますが、そういうパターン的なものがあるのを知らない人には a2-a4 のような手はなかなか思いつかないでしょう。よほど才能のある人ではないかぎりこの手の感覚は実戦を繰り返して自力で習得するのは相当効率が悪く、GMのゲーム(解説付きだとベター)を並べて様々な局面での対処法を見て覚えるのが一番効率の良い学習法だろうと考えています。
(2) Vision とは実際の駒を動かさずに頭の中で駒を動かしたり局面を把握する能力のことです。Vision の最も高度な形態が目隠しチェスであり、そこまで出来なくとも棋譜を読みながら局面を頭の中で追えるのならば十分です。この能力は、若いうちに習得しないと出来ない人には一生出来なさそうです。もともと将棋が強くチェスを後から始めた人が「目隠し将棋ならできるけど目隠しチェスは出来ない」というのを聞いた時からそう確信しています。そして、私にはこの能力が致命的なほど欠けています。そもそも盤を脳内で描けません。仕方ないので肉眼で見えている情報に頼るしかなく、そのせいでいろいろな勘違いや思い込みをしてしまいます。例えば、上の図のような局面で 1.hxg6 をした直後の g6 のポーンの色が黒だと勘違いすることがありますし、1...Bxe5 2.dxe5 のような交換が起きた後、黒の d5 のポーンが前進出来ることを見落としたりすることがあります。これは当然レーティング向上の足かせになっています。長いコンビネーションだと精度が低くなりますし、自分の読みに自信を持てないのでリスキーな手が指せません。
(3)~(4)の解説は不要でしょう。
自分に足りないものが何であるか分かっているのだから、自分の日課にそれらを強化できるようなメニューを組み込みことにしました。
棋譜並べに関しては『いちばん学べる名局集』に載っているゲームを1日1ゲーム並べています。日課に加えてから1ヶ月ちょっと続いていますが、実はあまり学べていません。とりあえず並べているというだけで理解していないからでしょう。なので、一度読み終えたら、同じ本を今度は勝因を理解し棋譜を丸暗記するか似たような別の本を読むかのどちらかをするつもりです。
Vision に関してはショッキングなことが判明しました。以前は 4x4 マスの単色の盤くらいならかろうじて頭の中で描けたと思うのですが今は 3x3 マスですら描けません。正直に書くと、このことでチェスに対するモチベーションがかなり下がりました。これは出来るのと出来ないのではかなり棋力に差の出るスキルです。それなのに、トレーニングする方法すら今は思いつきません。これが出来る人はわざわざトレーニングしたのではなくてごく自然に出来るようになっているようですし。
実戦経験を補うためには Chess.com で5分+5秒/1手のブリッツを1日1ゲームやっています。やった後はそのサイトにある解析機能を使って軽くおさらいをしています。
これで本気を出しているかと言えば、まだ出していません。ウォーキングやスペイン語の勉強により多くの時間を割いていますから。でも、少なくとも以前よりは力を入れていることはたしかです。とりあえず、しばらくはこれで様子見します。
ちなみに『俺はまだ本気出してないだけ』は邦画のタイトルです。私はコメディというジャンルが好きではないので観ていませんがタイトルだけはポジティブで好きです。
2016年12月31日
2016年12月10日
小島君のレクチャー: Capablanca
小島君レベルだと当たり前なのかもしれませんが「この当時(Capablancaは約100年前のプレーヤー)はこう指されていましたが、現代ではこう指します」みたいなオープニングの変遷を聞くとチェスが今でも進歩しているのを感じます。私は Colle の本を何冊か持っていて、本によっては「昔の本で紹介されていたこのラインに対して黒はこう対処できる上に、その対処法も広く知られてきたので、この本では別のラインを紹介します」みたいな前置きがあったりしますが、そんな新しい知識を持った相手と対局する機会は私にはほとんどありません。だから、私はあまりオープニングの最新知識を追いかけようとは思いません。しかし、IM以上ともなると話は違うようで、ほんの僅かでも優位になるような手を研究しているのが感じられました。
ここ数年タクティクスの問題を1日に10問解くようにしていますが、その程度では全然レーティングは上がらないし、逆に下がっているくらいです。そのため、最近テコ入れをすることにしました。twitter で私をフォローしている方はご存知でしょうが、最近私は『いちばん学べる名局集』に載っているゲームを1日に1つ並べるようにしています(それ以外に 5|5 のブリッツを1局指すようにしています)。ただし、本は質問に答えてくれませんし、move by move 系の本ではないのですべての手に解説があるわけではないので疑問があってもそのまま読み進めるしかありません。その点、やはりレクチャーは分かり易いと今日あらためて実感しました。
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